1ページ目から読む
2/3ページ目

何がバッシングに繋がったのか?

 今回のバッシングで火に油を注いだと思われるのが、総選挙終了後に行われた選抜メンバー(今回の総選挙で16位までに入ったメンバー)の写真撮影に宮脇咲良が欠席したことについて、開票イベント前のコンサートで松井から“ダメ出し”されたのが原因ではないかと一部メディアが報じたことだ。その根拠としては、くだんの写真撮影のあと、報道陣を集めて行われた囲み取材での松井のある発言があげられた。

 じつは筆者もこの囲み取材に参加していたのだが、たしかにそこで松井は宮脇にダメ出しした事実を明かしていたものの、それはその後報じられた内容とは若干ニュアンスが異なる。そもそも、くだんの発言は、写真撮影に宮脇が欠席した理由を説明したものではなく、開票イベントのステージで宮脇にどんな言葉をかけたのかという記者の質問に対し答えるなかで出たものだ。

総選挙・握手会はSKEの地元、ナゴヤドームで行われた ©iStock.com

松井が会見で語っていたことの真相とは

 開票イベントでは、松井が1位に決まったあと、司会の徳光和夫からうながされて宮脇に「ライバルになってくれてありがとう」と伝える場面があったが、そのあともマイクが入っていないところで松井は宮脇に何か話しかけていた。記者の質問はその内容についてであり、これに対し松井は、《正直、言います。全部話しますね。いままで隠してたこと。みなさんのことを信頼してるから》と前置きしたうえで、以下のように語った([]内は筆者注)。

ADVERTISEMENT

2012年第4回総選挙での松井珠理奈 ©文藝春秋

《コンサートで「10年桜」[2009年発売のAKBのシングル曲]を歌いました。(中略)でも、まわりを見たらオリメン[オリジナルメンバー。この場合はシングル「10年桜」の選抜メンバー]が[自分]一人しかいなくて。みぃちゃん[峯岸みなみ]いるのに、そこにいなくて。どうして偉大な1期生が、私たちの先輩のAKBの1期生がそこにいないんだろうって思ったら、すごい不安になっちゃって。でも私がやるしかないと思って。だから私が命を懸けて全力で踊ったんです。歌ったんです。(中略)

 私は「再会の誓い」[曲中の歌詞]の瞬間に咲良たんに「もっとちゃんと踊って」って言いました。じゃないとAKBが終わるから。それを言ったら、咲良たん出れなくなっちゃいました。悲しいです。だから「ごめんね」って言いました。だけどそれは咲良たんが好きだからだよって。咲良たんは48グループを盛り上げるには必要な存在です。だから本当は来年も総選挙に出てほしい[宮脇は今回の選抜総選挙で、立候補するのはこれが最後と表明していた]。だって私が出るんだから。本当のライバルになってもらわないと》

今回選挙で初の1位に輝いた ©時事通信社

宮脇は「うなずいてくれました」

 ここで語られているとおり、コンサート中に松井は、AKBの将来を心配するあまり、宮脇に思わず「もっとちゃんと踊って」と言ってしまったという。そしてそのことを総選挙で1位に決まったあと、あらためてステージ上で宮脇に直接「ごめんね」と謝ったというわけである。謝罪に対し宮脇は《うなずいてくれました》と、松井は話していた。

 なお、上記の発言中、「咲良たん出れなくなっちゃいました」と松井が言っていたのは、総選挙終了後の写真撮影ではなく、コンサートのその後のステージに出られなくなってしまったという意味だろう。話の流れからいっても、そう理解するのが妥当だと思う。