21歳の時にはブロマイドの年間売上成績でも第1位を獲得し、さらに同年グレナダが発行する「世界のスター切手」にマドンナやティナ・ターナー、エルトン・ジョン、ブルース・スプリングスティーンらとともに日本代表のスターとして絵柄に選ばれてもいる。

CM女王としての存在感も巨大で、カネボウ化粧品をはじめ、フジカラー、ONKYO、富士通、JR西日本、江崎グリコなど10社以上のテレビCMに出演。

40周年コンサートの際にはシースルーの大胆なドレス姿を披露したことも 本人インスタグラムより

 特に江崎グリコの「アーモンドチョコレート」と「ポッキーハイブレンド」のCMでは、当時大親友だった歌手の本田美奈子と共演。息の合ったかけ合いを見せて話題を呼んだ。2005年に本田が38歳の若さでこの世を去った際、告別式の会場で「悔しいです。絶対に生きると思っていた」と声を震わせる姿は今でも語り草になっている。

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 女優としても映画『はいからさんが通る』(87年)やNHK大河ドラマ『武田信玄』(88年)などに出演したが、最大の転機となったのは、24歳の時だった。

男性の舌が胸を這うと、体が敏感に反応し…

 宮尾登美子原作の『寒椿』(92年)で演じたのは、遊郭のナンバーワン女郎役。父親の借金のカタに遊郭に売られ、親身に世話をしてくれた、西田演じる女衒に恋心を抱き、体は他の男性に許しても心だけは西田の女衒に捧げ続ける、という高潔な芸妓を演じた。

「寒椿」で大胆なヌードを披露した24歳の南野陽子

 遊女として最初の客を取るシーンでは、髷を結った姿で布団に横たわると、上半身の肌着を剥ぎとられる。恥じらいや屈辱、さまざまな表情を浮かばせながら、小ぶりな白いバストを揉みしだかれ、両バストトップを男性の舌が這うと、体が敏感に反応してしまう大胆な濡れ場を見事に演じた。

 なお本作の舞台が高知・土佐だったため南野も土佐弁のセリフが多く、『スケバン刑事II』の麻宮サキが成長した姿を観ているようで往年のファンは感慨深かったという。

 さらに同年秋、大きな社会問題となっていたAIDS(HIV感染症)を題材にした『私を抱いてそしてキスして』(原作・家田荘子)に主演。HIVに感染しながら愛する男性の子どもを妊娠する難しい役をこなし、赤井英和演じる恋人との激しいラブシーンも体当たりで演じた。

 先の『寒椿』と合わせて第16回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を受賞し、演技派女優への仲間入りを果たした。