「どうしても欲しいものがあるならば、したたかに生きなさいってこと」

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』で注目を集めているのが、主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)の親友・花江を演じる森田望智(みさと)(29)だ。冒頭のセリフは猪突猛進な性格の寅子に送った花江のアドバイス。「どんな道でも、女が好きな方に行くのは大変なのよ」と続く。

森田望智 ©AFLO

ヒロインの寅子とは対照的な女性を演じる

 女学生のうちに結婚し、嫁として家に入った花江の生き方は、日本で初めて女性として法曹界に飛び込み、女性への差別や蔑視と戦いながら生きていく寅子とは対極に見える。ふわっとした雰囲気の中にしたたかさを隠す花江の性格も、真正面からの論戦も辞さない寅子とは対照的だ。

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 寅子と花江は、『ブギウギ』の福来スズ子と茨田りつ子のような正反対の性格を持つバディとも言える。今後、ふたりがどのような道を歩むのか、楽しみにしている視聴者も多いだろう。

 ドラマは花江の苦悩や痛みも描きつつ、彼女の生き方も肯定する。森田は花江について、「家庭に生きる女性だって、外で仕事をする女性と同じくらい尊いんだよ、ということを伝えられる人」と解釈しているという(ステラnet  2024年4月19日)。

寅子(伊藤沙莉)の親友・米谷花江を演じる森田(『虎に翼』公式Xより)

 森田は『虎に翼』だけでなく、Netflixの注目作『シティーハンター』でも、ヒロインの槇村香という重要な役を演じている。ショートカットがトレードマークで、男っぽくてさっぱりとした性格の香は、花江と共通点がないように見えるが、森田は難なく演じきっていた。現代最強の“カメレオン女優”という称号は彼女にこそふさわしい。

爆発的な反響を呼んだ『全裸監督』

「私は自由を手にして主張するヴァギナになったんです」

 森田望智の名前を一躍日本中、いや世界中に轟かせたのが、Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』(2019年)だ。山田孝之がアダルトビデオの世界の異端児・村西とおるを怪演したピカレスク・ドラマで、森田は一世を風靡したAV女優、黒木香になる佐原恵美を全身全霊で演じている。

 本作は爆発的な反響を呼び、森田の女優人生を一変させることになった。海外では道行く人に「Are you Netflix?」と声をかけられることさえあったという(TV LIFE web 2021年6月24日)。