日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。

◆◆◆

地銀再編の黒子

 伝統的な預貸ビジネスが収益を生む“金利のある世界”に戻り、「体を大きくするのが最大の生き残り策」(大手地銀幹部)と、再編を狙う地銀が相次ぐ。

 再編の黒子として注目されているのが、地銀に特化したファンドのありあけキャピタル(田中克典代表兼CIO)。田中氏はゴールドマン・サックスで日本の銀行のセクターアナリストを長く務めた人物だ。

ADVERTISEMENT

千葉銀行が千葉興業銀行の筆頭株主に ©時事通信社

 存在感を露わにしたのは3月、千葉銀行(米本努頭取)が千葉興業銀行(梅田仁司頭取)の筆頭株主に躍り出た時だ。千葉興銀の株式の売り手が、ありあけキャピタルだった。

「千葉興銀は『ライバルの千葉銀行だけには保有株を売らないでほしい』と懇願したが、田中氏は聞き入れなかったようだ」(同前)

 同社の出資先は、北國フィナンシャルホールディングス(杖村修司社長)、山口フィナンシャルグループ(椋梨敬介社長)など、10社程度とみられている。「田中氏は押しが強いことで知られ、金融庁幹部とのパイプを使い、再編を仕掛けてくるだろう」(同前)

南昌宏氏が社長を務めるりそなHDは「スーパー・リージョナル・バンク」構想を掲げており、地銀再編の黒子と目されている ©時事通信社

 再編のもう一つの黒子がりそなホールディングス(HD、南昌宏社長)だ。公的資金完済から10年、以前から「資本の活用ステージに入る」(南氏)と、地域金融機関への出資を含む連携拡大に意欲を示している。

 南氏は関西学院大学出身で、2020年に社長に就任した。ITに精通した人物と言われている。

 同社は新しい地域金融の連合体となる「スーパー・リージョナル・バンク」構想を長年掲げてきた。傘下に関西みらい銀行(西山和宏社長)やみなと銀行(持丸秀樹社長)を持ち、地銀を糾合する受け皿はある。

この続きでは、ありあけキャピタルとりそなHDについて地銀幹部がコメントしています》

※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年8月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では下記の内容をお読みいただけます。

 

★トヨタの復権人事
トヨタ自動車(佐藤恒治社長)の“復権人事”が話題になっている。執行役員の近(こん)健太氏が、7月1日付で2年ぶりにCFOに復帰したのだ。近氏は東北大学出身で・・・

★日鉄が抱える課題

日鉄ソリューションズ(玉置和彦社長)、大阪製鐵(谷潤一社長)など上場子会社は、親子上場などの問題から株価が不当に安くなっており・・・
★超大手に迫るゼネコン​
建設業界でインフロニア・ホールディングス(岐部一誠社長)の積極果敢な経営姿勢が目立つ。先頃決めたのは三井住友建設(柴田敏雄社長)の買収だ。これで売上高は1兆円を大きく超え・・・

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】永久保存版 戦後80周年記念大特集 戦後80年の偉大なる変人才人/総力取材 長嶋茂雄33人の証言 原辰徳、森祇晶、青山祐子ほか

2025年8月号

2025年7月9日 発売

1700円(税込)

Amazonで購入する 目次を見る
次のページ 写真ページはこちら