「スタンスは石破首相と実は同じでは?」と問うと…
ダースさんは「対米自立をするというスタンスは石破首相と実は同じでは?」と質問した。石破批判の急先鋒でもある西田氏にあえて問うたのだ。
西田「石破さんはちょっとそこらへんの話はちょっとよくわからないね」
あらためて私が質問した。
――吉永小百合さんがひめゆり発言に対して「ちゃんと勉強していないんじゃないかという気がします。そういう人を選んでいること自体、良くないと思います」と述べましたがどう思いますか?
西田「それはおそらく私が何を言ったかご存じないんじゃないですか。まず私の『正論』読んだりYouTubeを見てもらって」
――読んだらなおさら酷かったというパターンは?
西田「それはない」
そう言って西田氏は次の現場に向かっていった。
西田氏が読めと言う『正論』には以下のことが書いてあった。「東京裁判史観」を押し付けられてきたこと、「日本は自らの歴史を取り戻せているとは言えません」などなど。自分の「歴史観」がズラリ。ひめゆり発言をお詫びした理由については、
《「ひめゆりの塔」が、県民の皆さん方にとって本当に耐え難い大きな苦しみの歴史、トラウマであるとの理解に立つと、いま沖縄の地でむやみやたらに口にする必要はなかった、私はそう反省したのです。いわば「TPO」を弁えない発言だった。》
疑問なのは「ひめゆりの塔」のことを沖縄の地でむやみやたらと口にする必要はない、という点だ。まるでタブー案件のよう。むしろ沖縄県民の多くは沖縄戦やひめゆりの塔のことを広く正しく伝えてほしいと願っているのではないか。
西田氏が「訂正」の対象にしたのは、「講演の中でひめゆりの塔を持ち出した」ことだけだった。
《「歴史の書き換え」と指摘した資料はひめゆりの塔に存在したと主張し、「めちゃくちゃな教育のされ方」という発言も撤回していない。発言の根幹部分は訂正しておらず、「訂正した」というのは不正確だ。》(琉球新報・参院選ファクトチェック取材班)
接戦の末に西田氏は当選したが、今も自国の歴史や自分の発言と向き合っていないように思えたのである。
◆◆◆
文春オンラインで好評連載のプチ鹿島さんの政治コラムが一冊の本になりました。タイトルは『お笑い公文書2025 裏ガネ地獄変 プチ鹿島政治コラム集2』。
