渋谷道頓堀劇場などでストリッパーとして活躍している宇佐美なつさん(32)。早稲田大学卒業後、外資系コンサルティング会社に就職し、順調にキャリアを積んでいた宇佐美さんだが、3年で会社を辞め、ストリップ業界に飛び込んだ。

 いわゆる“エリート街道”を歩んでいた彼女は、なぜ安定した地位や年収を手放すことになったのか。

宇佐美なつさん(写真=本人提供)

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大学4年生の時にストリップ劇場で受けた“衝撃”

「もし続けていれば年収1000万円の可能性もあった」という宇佐美さん。コンサルの仕事は自分に向いていると感じ、上司や同僚との人間関係にも恵まれていたという。しかし、3年目を迎えた頃、仕事へのマンネリ感を覚え始めた。

「コンサルは携わるプロジェクトがどんどん移り変わっていくから、ルーティンワークにならずに楽しめると思っていたけど、結局プロジェクトには類型があって、やることはだいたい同じ」と宇佐美さんは当時を振り返る。

 宇佐美さんがストリップ劇場を初めて訪れたのは大学4年生の時だった。「友だちと『エロスポット巡りをしよう』という話になり」偶然立ち寄った渋谷道頓堀劇場で、彼女は衝撃を受けた。

「正直、客席の男性が、踊っている女性を"性的に消費する"ような場所だと思ってました。でも、実際に行ったら全然そんなことはなくて。逆に、ステージで踊っている女性のほうが立場が上というか」

 

外資系の大手コンサルを辞めてストリッパーとしてデビューした経緯

 その後、月に1回ほどのペースで劇場に通うようになった宇佐美さん。特に気に入った踊り子さんと出会ってからは、「自分だったらこんな曲をかけてみたい」「この曲でこういうステージにしたら楽しそう」と想像するようにもなっていた。

 そして、仕事のマンネリ化に悩んでいた頃、一番好きだった踊り子さんの引退をきっかけに、「これからどうやってストリップと関わっていこうかな」と考えるようになる。

「それまではずっと、好きなお姐さんを客席から観たいという気持ちが一番強かったけど、その人がいないなら、『観客』ではなく『演者』として自分の好きなストリップに関わるのもアリなのかな」

 渋谷道頓堀劇場に電話し、面接を経て2019年7月11日にデビュー。「デビューしたことで『自分の人生が始まった』とは思います」と宇佐美さんは話す。