“市民の声を反映する”すぐれた先行事例
この膠着状態を打破するには、AIの力で政治的なイシューをめぐるSNSの反応を可視化し、多人数での熟議が可能な言論空間をつくることが有効です。
そして革命の肝は、間接民主主義(代議制民主主義)で100%の意思決定がなされている現状に対して、まず1%の直接民主主義を導入することです。
私が都知事選においてGitHub 上に意見交換の場を立ち上げ、議論の結果をマニフェストに反映させていったように、あるいは台湾では「vTaiwan」というプラットフォームで市民が立法プロセスに直接参加しているように、市民の声が実効性をもった形でダイレクトに反映できる仕組みはつくれます。直接民主主義というパスを「0」から「1」にするのです。
市民が話し合って決められる予算枠をもうけ、直接参加で政策を練り上げる市民参加型予算を導入するのも有効です。議論のプロセスはすべて可視化し、政策イシューに関して、具体的にどう予算を使って何を実施するかを公開します。また、デジタルプラットフォームを用意し、市民がプレゼンテーションを行ったり、提案書を資料とともに公開したりすることができるようにします。
台湾のオープンソース・プラットフォーム「vTaiwan」には、専門的な知見をもった人々も多く参加し、そこで交わされる政策をめぐる議論をAIが分析して、多様な意見を整理しながら全体を概観できるマップをつくっています。こうしたプロセスでは少数の意見も拾い上げられやすく、多くの人が協働して議論を深めていくことができます。
また、過去事例など、実行の要件が十分に揃っている政策についてはAIが情報源となることも将来的には考えられるでしょう。データを集め、意思決定のプロセスをオープンにしながら、最適な意思決定のポートフォリオを模索していくことができるのです。
(その2へ続く)
