『DREAMS』――17歳の少女が綴った初恋の手記が出版されることに
2作目の『DREAMS』。本年度ベルリン映画祭で最高賞である金熊賞を受賞した本作は、17歳の主人公ヨハンネが、新任教師のヨハンナに片思いする話。フランスの恋愛小説のような恋愛を夢見る彼女は、ヨハンナへの初恋の熱い気持ちを手記に綴る。それを読んだ詩人の祖母と母の提案で手記を出版することになるのだが――。それぞれの理想をもった3世代の母子の会話が衝突したり、歩み寄ったりする様子が実に面白く、宗教、フェミニズム、セラピーなどに物申すコメントが、棘を感じさせて笑いを誘う。
監督 この家族にとって詩や文学はとても重要だ。主人公は作家をめざしているわけでないけれど、執筆をし始める。それを祖母がプロの目で見てくれる、だから祖母を詩人に設定したんだよ。ヨハンネが愛読する『エスピリット・ド・ファミー』(ジャニ・ボアサー著)という小説も重要だ。実際に僕が11歳の時に読んで感銘を受けた本で、初めて恋に落ちたときの気持ちをとても鮮明に表現している作品だと思ったんだ。
繰り返される階段のシーンが、ヨハンネの成長過程にある心理、祖母の夢や願望を象徴していて独創的だ。またヨハンネがダンス・レッスンに励む設定について、
監督 ダンスもとても重要だった。3作すべてに(『SEX』にも舞台シーンで登場)ダンスシーンを入れたかった。僕自身ダンスが好きで、現代のダンスのステージを沢山見てきた。加えてクラッシック・バレエについては物申したかった。ほとんどの芸術は進化し続け常に境界線が広がっているが、クラッシック・バレエだけは例外! 女性、男性の位置がしっかり決まっていて、女性は男性が持ち上げられる体重でなければならないとか、細かい規則にがんじがらめなんだよ。
