半グレの男たちから「客を紹介するから売春しろ」と…

 15歳のある日、店の常連だった半グレの男たちに目をつけられた。中学生を働かせているくらいだから質の悪い店だったにちがいない。半グレの男たちはこう言った。

「店に来てない時間は暇なんだろ。客を紹介するから売春しろ」

 R華は男性経験もなかったが、抗うことなく一日3~5人の客を取った。最初は客が払う2万円のうち半額をもらえる約束だったものの、毎日半グレの男たちから「腕時計を買え」「酒代を払え」とたかられ、すべて言いなりになって払ったせいで、金はまったく残らなかった。

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 彼女は私の質問にこう答えている。

―男たちに金を払ったのはなぜ?

 言われたから。

―悔しくなかった?

 ……サンキューって言ってくれる人もいた。

―売春は嫌だった?

 そうだけど、他にすることないし……。

―後悔してる?

 わかんない。

 売春をはじめて3週間後、R華は半グレの男たちのたまり場のアパートで暮らすようになる。父親にしてみればスナックの給料さえもらえれば娘なんて知ったことではなかったのだろう。

別の家出少女から「死にたい」と相談され…

 半グレの男たちはいろんな家出少女をアパートへ連れ込み、覚醒剤を打っては強姦し、売春をさせた。何人かの少女は泣きじゃくっていた。R華は目の前で強姦が行われても、誰かが殴られても、スマホでゲームをして知らん顔していた。たまに何かの拍子に現実にもどると、得体の知れない不安に陥りリストカットをした。手首を切れば「心がパッとした」そうだ。

 ある日、アパートにいた別の家出少女から「死にたい」と相談された。R華は理由も訊かず、「わかった」と練炭を用意するなど自殺を手伝った。最終的に、自殺は失敗に終わったが、少女が病院へ搬送されたことで一連の犯罪が明るみに出る。

 警察がアパートに踏み込み、男たちとともにR華も逮捕された。R華は売春だけでなく、家出少女の監禁の手伝いや、自殺幇助をしたとされ、少年院に送られた。