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約3人に1人が、過去1年以内に居住都道府県以外に旅行していない
そこでまずは、回答者の過去1年間の旅行経験からみてみよう。以降、「過去1年間」という場合は、2023年10月から2024年10月までの1年間を指している。
この分野においては、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンが、子どもの体験格差をテーマに類似の調査を行っている。それによれば、観光旅行は、数ある文化的体験の中で、世帯年収の多寡で生じる“体験格差”が最も大きい。旅費交通費などの支出が避けられず、保護者の時間的余裕も必要なことが理由である。本書調査は、主に大人の移動経験と移動格差を調査対象とする点が、チャンス・フォー・チルドレンとの違いである。
はじめに、衝撃的な数字を共有したい。それは、過去1年以内に居住都道府県外への旅行経験がない人の割合が、年収600万円以上の人だと18.2%、年収300万~600万円未満の人は30.7%、年収300万円未満の人は45.6%という調査の結果である。つまり、居住都道府県外への旅行をめぐって、年収600万円以上の回答者と300万円未満の回答者で、およそ27%ポイントもの差が存在するのである。
“誰もが観光旅行できる時代”といわれる現代においても、実際には一定以上の距離の移動を伴う観光旅行経験には、年収、社会階層による格差が生じているのである。