階層によって2倍以上の差がある海外渡航経験
国内旅行経験の実態を知ったら、海外渡航経験も気になるところである。2020年以降の移動をめぐる状況は新型コロナの影響が少なからずあり、調査時点では十分に状況が回復していなかった。特に、海外渡航となると避けている人も一定数いると思われる。そこで、これまでの人生におけるすべての海外渡航経験について質問した。
その結果、娯楽目的の海外渡航経験がない人は、年収600万円以上の人で20.5%、年収300万~600万円未満の人で33.2%、年収300万円未満の人で46.3%という結果となった。海外渡航経験についても、年収300万円未満の回答者と、600万円以上の回答者では、約26%ポイントもの差があったのである。
さらに、300万円未満だと海外旅行を1年に1回も経験しない人が、約2人に1人であるのに対して、600万円以上だとそれは約5人に1人という実態も浮かび上がってきた。行き先の国内国外を問わず、観光旅行をめぐる移動機会には決して小さくない格差がたしかに存在するのである。
では、娯楽目的の観光旅行以外の海外渡航はどうなるだろうか。結果は、娯楽目的の渡航以上に大きな差が存在した。一生のうちに仕事目的で海外渡航を経験する人の数は限られるものの、年収300万円未満の人の15.0%に対して、年収600万円以上の人だと43.6%となった。
