今回は広陵高校(広島)問題についての読み比べです。注目は「朝日新聞はどう報じたか?」。
夏の全国高校野球選手権大会に出場していた広陵が初戦に勝利した後、出場を辞退した。1月に起きた部員間の暴力事案が発端だ。それをきっかけにSNSで中傷が相次いだことなどが理由、という。
朝日新聞は「熱中症の発症」を報じなかった
さてこうなると主催の朝日新聞が読みたくなる。高校野球を汗と涙と青春の美談祭りで報道してきたからだ。ビジネスにも利用してきた。
美談は行き過ぎると偽善になる。具体例として朝日新聞の偽善を挙げると、当コラムでは2018年に『高校野球「熱中症で力尽きたエース」記事が朝日新聞に見当たらない、という問題』を書いた。
西東京大会決勝で投げた投手が試合後に脱水症状を伴う熱中症を発症した。9回途中まで154球を投じたが試合後に全身に痛みを訴え、救急車が神宮球場のグラウンド内まで入り都内の病院に搬送された。当然ながら新聞ではこの件は大きく扱われた。サンスポは「力尽きたエース…熱中症で救急搬送 」。日刊スポーツは「154球……熱中症 救急車で搬送」。一般紙も毎日、読売、東京新聞が伝えた。しかし、朝日新聞はこの事実を報じなかったのである。
東京版では決勝戦を2ページにわたって大々的に報じていたがどこを探しても「エースが熱中症で搬送」は書かれていなかった。その代わりに「『壮絶な試合』両校たたえる 閉会式で都高野連会長」という記事や、「ご協力に感謝します」という東京都高野連と朝日新聞社連名の感謝のことばを載せていた。
《猛烈な暑さが続く中での大会でしたが、各チームとも温かい声援を励みに、激戦である東京の大会にふさわしい好プレー、好試合を見せてくれました。》
