どこか朝日新聞の書き方には冷たさを感じた
不適切にもほどがある。まるで戦時下の報道だ。先の戦争では新聞による翼賛報道も軍部の片棒を担いでいた。高校野球に依然として漂う軍隊のような古い規律に精神主義、暴力、美談報道は似たような構図を思い出させる。そして今回だ。朝日は商売的にも押し切りたかったろうがSNSがある今、どうすることもできなかった。朝日はまた敗れたのである。
広陵の辞退発表の翌日、朝日新聞は1面下、社会面、スポーツ面で報じた。
社会面では暴行発覚後の経緯について、
《学校は県高野連を通じて日本高野連に報告し、日本高野連は3月に「厳重注意」をした。厳重注意は、学生憲章に基づく規則で原則公表しないと定められているため、当時は高野連や学校からの発表はなかった。》
高野連と学校側は正しい対処をしたもんね。という行間を感じたのは私だけだろうか。ポイントはそこではなく、被害者側の声をろくに聞かずに対処したことがここまで大きな問題になったのではないか? どこか朝日新聞の書き方には冷たさを感じた。
スポーツ面の「見えづらい寮生活 改革のとき」では、朝日新聞と日本高野連が加盟校を対象に5年ごとに実態調査をしていることを強調していた。寮生活の改革に成功した学校の話にも触れていた。強気だが、記事が小さいのが気になった。
では他紙はどうか? 読売新聞と産経新聞は広陵の辞退発表から3日後に社説で取り上げた。読売社説は、被害者の生徒は転校を余儀なくされたとし、いじめ防止対策推進法に言及していた。いじめで子供の生命や心身、財産に深刻な被害が生じた疑いがある場合を「重大事態」と位置づけ、調査組織の設置を義務づけているからだ。そう、今回は重大事態なのである。朝日新聞は書いていない重要な視点だ。
そのうえで、
《高野連の判断にも疑問が残る。被害者が転校せざるを得なかった暴力行為への処分は「厳重注意」が妥当なのか。被害者側の声も聞かず、広陵側の言い分だけで処分を決めていいのか。審査方法の見直しを検討する必要がある。》