今もやまない新宿歌舞伎町の「たちんぼ」問題。なぜ若い女性たちは、自ら客を取り、春を売るのか? ここでは新宿歌舞伎町で路上売春をしている恵美奈(仮名、取材当時19歳)さんのケースを、ノンフィクションライターの高木瑞穂氏の『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』(鉄人社)のダイジェスト版より紹介。なぜ18歳から売春を始めたのか? 毎月350万円を稼ぎながらも「幸せとは言えない」理由とは?

写真はイメージ ©getty

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路上売春で「1日15万円稼ぐ」彼女

「私はカラダ(売春)をしてまで推しに貢ぐなんて想像してなかったけど、メン地下推しの子ってフーゾクとかやってる子多いから周りに影響されて」

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 恵美奈さんが路上で売春を始めたのは2022年7月末から。夕方から深夜1時頃まで立ち、1日15万円ほど稼ぐという。料金設定は最低1万円だが、「相場がわかってない人」が3万円や5万円くれることもあるという。

 そんな彼女が稼がなければならない理由は、ホストクラブにある。「1回150万を月に2回」、そして生活費50万円と合わせて月に350万円の支出があるという。

 大きな散財について、「えっ、だって、日に15(万円)稼げば20日で300(万円)ですよ。残り50万なんて2、3日もたてば楽勝だし」と恵美奈さんは話す。

きっかけは「推し活」

 彼女が売春を始めたきっかけは、「メン地下」の「推し活」だった。メン地下とは「メンズ地下アイドル」の略称で、小規模なライブやイベントで活動する男性アイドルのことだ。恵美奈さんは高校3年の17歳の終わりごろからハマり始めたという。

 「最初はツイッターでのパパ活です。私はカラダをしてまで推しに貢ぐなんて想像してなかったけど、メン地下推しの子ってフーゾクとかやってる子多いから周りに影響されて。毎日泣きながらやってた」

 単に推しを独占したいからではなく、競争心が強く働いていたという。「ひとりっ子で、オモチャや食べ物を兄弟と奪い合うなんて経験がない。だから、興味のないことには全く競争心は湧かないけど、自分が好きなことに対しては絶対にいちばんじゃないと嫌だ、っていうのがある」

 その後、大阪から東京に出てきた恵美奈さんは、メン地下からホストへと依存先を変え、いまでは毎日ホストに会い、売春の稼ぎをつぎ込んでいる。そんな生活を幸せかと問われると、「幸せとまでは言えないかも」「というより暇つぶしかな。暇なんで」と答えた。

 こうした返答からは、自身の暴走を止めるきっかけを模索し続けているようにも見える。一方でホストの男性は、1回150万円もの売り掛けをさせながら、毎日会って「セックスはほぼ毎日」という関係性を築いている。「営業なんじゃないですか?」と自覚しながらも、関係を続ける彼女の内面には何があるのか。

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