小笠原は行為の模様をビデオカメラで撮影し、「住所と名前と学校名を言え!」と脅してきた。
晴奈さんは学校名は正直に言ったが、住所と名前はデタラメを答えた。小笠原は「誰かに訴えたりしたら、この映像がインターネットの世界を漂うことになるからな」などと脅した。
小笠原は晴奈さんの両足を開き、その間に入ってきた。何をされるか悟った晴奈さんは絶叫したが、お構いなしだった。
行為が終わると、小笠原は「ごめんね」と言いながらガムテープを外し、「これはクリーニング代だ」と言って3万円を渡してきたが、晴奈さんは「要りません」と拒絶した。
再び外に出て、駅までの道を無言で歩いたが、小笠原は改札まで来ると雑踏の中に消えてしまった。ようやく解放された晴奈さんは母親に電話。その後、犯人は捕まったものの、両親の怒りは収まらない。
「事件後、娘は別人のようになってしまい、『犯人は人間のクズだが、そんな犯人にオモチャにされた自分もクズだ』と責め続けている。犯人から謝罪の手紙を受け取ったが、家庭や仕事のことでストレスを抱えていたなんて、ふざけた言い訳にしか聞こえない。市民を守るのが警察官なのに、私たちはいったい何を信用したらいいのか……」
懲戒免職、そして犯人の家族は……
小笠原の行為は単なる性犯罪では済まず、警察組織全体に対する裏切り行為でもあり、起訴と同時に懲戒免職になった。
小笠原は「メモの想定に沿って犯行を実行しており、計画性があったのは明らか。被害者の精神的苦痛も相当大きい」と断罪され、懲役10年を言い渡されたが、自宅を叩き売って作った約400万円はすべて被害者への慰謝料に充てられた。
悲惨なのは小笠原の2人の子どもたちだ。妻の姓に変えるために小笠原とは離婚した。
「パパが悪いことをしたから、前の家にも住めなくなって、発表会にも出れなくて、習い事もやめちゃって、お友達ともさよならをした。パパがいけないと思うけど、新しい保育園に行っても頑張る」
5歳の長女は事件を理解しているというが、出所した小笠原が家族に合わせる顔などあるのだろうか。
