「もしかして……、男の人に襲われたの?」「うん……」

 被害者の腕にはアザが……。2015(平成27)年におきた凶悪犯罪。18歳の女子高生が暴行被害にあった理由とは? そして犯人男性の驚きの「職業」とは……? なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/後編を読む)

写真はイメージ ©getty

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「もしかして……、男の人に襲われたの?」

 女子高生の水木晴奈さん(当時18)の母親は、娘が午後8時過ぎになっても学校から帰ってこないので心配していた。〈今、どこにいるの?〉とメールしても返事もない。その後、ようやく電話があったが、「今から帰る。詳しくは後で話す」と言って、すぐに電話を切った。

 だが、帰宅した晴奈さんは母親とは目も合わせず、自室に引きこもった。家の中にいるのにスマホで連絡してくるので、いよいよおかしいと思い、「いったい、何があったの?」と聞くと、「何があったか分かる?」と言って、手首に残った赤いアザを見せた。

「ま、まさか……」

 母親は最悪の想定をした。

「もしかして……、男の人に襲われたの?」

「うん。殺されないように言うことを聞いてきた……」

 その言葉ですべてを悟った。

「よく帰ってきたわね……」

 自然と涙があふれ出す。

「お父さんには黙ってて……」

「ごめんね……、これはお父さんに相談するね……」

 父親はその話を聞くなり怒り狂い、「晴奈、手を洗ってもダメだ。今から持っているものを全部持って警察へ行くぞ!」と言い、3人で近所の交番を訪れた。