猛暑が続くなか、「令和のコメ騒動」は止む気配がない。石破茂首相がコメの増産を表明する一方で、今年はJAが生産者に払う前払い金(概算金)が値上がりし、すでに過去最高を記録する地域もある。

 そんななか、2022年に実家の農業を継いだ中垣内祐一氏は「日本のコメ作りは本当に瀬戸際まで来ているんですよ」と訴える。生産の現場では何が起きているのか。ノンフィクション作家の窪田新之助氏が福井市を訪ねた。

教授を務める福井工業大学では体育の授業でバレーを指導 ©福井工業大学

――小泉進次郎農相は渇水対策で給水車を派遣すると発言しましたね。どう思われましたか。

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 中垣内 本当に……なんというか……またいつもの珍発言が始まったのかと思いました。なんとかしたい気持ちはわかるけど、現場を知らないにもほどがある。1枚の田に水を張るのに、いったいどれだけの量を必要とするのかを知っているのかと。給水車で何とかなる話じゃないよ。(略)

米作りに励む日々 ©福井工業大学

 ――小泉農相が備蓄米を大量に放出したことについても、農家の反発は強かったように感じます。中垣内さんはどう思われましたか。