パリ五輪開催直前の世界ランキングで“過去最高”の2位まで浮上し、52年ぶりのメダル獲得が期待される男子バレー。これほど強くなった背景には、一体なにがあったのか? 前代表監督の中垣内祐一さんに、主将の石川祐希(28)をはじめとした中心メンバーとの“秘話”や、彼らの強さの理由について聞いた。(全3回の2本目/続きを読む)
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「遂にこんな日本人選手が…」突出した能力の石川祐希選手
――綺羅星のごとく並ぶ選手の中でも石川選手の存在がかなり大きいように思います。
中垣内祐一さん(以下、中垣内) それは間違いないですね。彼のことは中学、高校時代から気にして見ていましたけど、石川がすごいのは、成長に波がなく確実に階段を上がっていることです。
そこからも彼がどれだけ真摯にバレーに向き合い、行動に移しているのかが分かります。彼はまだまだ伸びるし、「世界トップのプレーヤーになる」という目標を間違いなく達成すると思いますね。
石川のプレーに驚かされたのは2015年のW杯。僕がバレー界から遠ざかっているうちにこんなに成長したんだと感動しました。そして遂にこんな日本人選手が現れて嬉しくなりましたね。だから、この才能を潰してはならないと、代表監督に立候補したんです。
「主将は石川」と考えていた。本人に電話すると“即答”だった
僕が代表監督になった当初から石川中心のチームを作り、東京五輪の主将は石川で臨もうと考えていた。2019年にイタリアにいる彼に電話で主将を要請すると「やらせていただきます」と即答でした。
彼の能力は突出していたし、何よりバレーに取り組む姿勢が素晴らしい。10代でイタリアのセリエAに渡ったバレー界の先駆者ですから、他の選手への影響も大きい。彼の持つ膨大な熱量が他の選手に拡散されれば、他の選手も石川の背中を追うと睨んだ。
事実、代表の中心メンバーはセリエAやポーランドのような強豪国に渡り、腕を磨いてきましたからね。高いブロックをいかにかわして打ち切るか。そんなスパイク技術をかなり会得しています。