車弄りを趣味にする人たちのなかでも、「見せるためのカスタム」に傾倒する者の情熱には目を見張るものがある。“イベント展示”に心血を注ぐ、型破りなオーナーたちの素顔とは?

 今回は「第十一章 赤鬼富岡杯 生涯現役伝説」の出展者から、セルシオをカスタムする小田川さんをご紹介。

ショップの看板車としてセルシオをカスタムする小田川さん

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好きだからこそ節度を守って

 もともと車弄りが好きで、25年前にカスタム系のショップを始めたんです。最初は単純に、「業者なら安くパーツを仕入れられるから」って動機でしたね。

全身ワンオフパーツで武装したセルシオ。数々のイベントでグランプリを獲得している車両だ

 このセルシオはショップのデモカーとして、かれこれ10年くらい弄っているかな。飽き性なんでいつもはすぐ車を替えちゃうんだけど、これはかなり長く維持していますね。

 車はVIP系に限らず、色々と乗ってきましたよ。最初はクラウンやマジェスタに乗って、それからテスタロッサとか、911ターボとか、928ポルシェのケーニッヒとか。928は少年隊の東山さんが乗っていたモデルですね。

ホイールにはスポーティさと高級感を兼ね備えたワークのグノーシスを選択

 今はセルシオのほかにハイエースとかジムニーとか、全部で7台維持しています。まぁ、車屋ですから。もう、人生で車に使ったのは4億とか5億になるんじゃないかな。

 ほとんど道楽みたいなものですが、家計のことで妻から言われることはないですよ。もう結婚して20年になりますし。むしろ店の看板になるので、「どうせやるんだったら一番になれる車を作りな」って。

マフラーは左右4本出し。通りすがりでアイドリングに気づかないほど静かな排気音だった

 息子は今2歳半で、やっぱり車は大好きですよ。パトカーや消防車も好きだし、家の車だとジムニーがお気に入りですね。近場のイベントにはいつも連れて来ていて、車を見てまわったり、仲間の家族に遊んでもらったり。毎回楽しそうですよ。

 息子が将来、どんな車に乗るのかわからないけど……。まぁ結局、車はノーマルが一番なんですよね。メーカーがちゃんと考えて作った完成形なんで。ウチらはわざわざ、それをカッコ悪くしているのが現実なんですよ。

トランクはまるごとオーディオスペースとして作り込んでいる

 イメージも悪いじゃないですか、改造車って。だから少なくとも、人に迷惑をかけるようなことはダメなんですよね。どんどん厳しくなって、続けられなくなっちゃうから。

 たとえばイベントに排気音は関係ないんだから、マフラーも車検に通るものじゃないと。ほかにも、シャコタンで地面に擦って路面を傷つけちゃったら、公共のものを壊したことになるんで、ちゃんとエアサス組んだりね。

賞を獲ったコンテストには参加しない主義。セルシオで出られるイベントも限られてきた

 だからウチで作る車は、ちゃんと公認を取れる状態で出していますよ。自分としても、「決まった制限のなかで、どこまでできるか」っていう方が燃えますからね。

 何にでも言えることですけど、車の改造はとくに、見境がなくなるといつかパンクすることになるんで。ほどほどに、迷惑をかけない形で楽しむことが大事だと思いますよ。

次の記事に続く 「東京オートサロンにキャンギャルとして呼ばれたい」ステップワゴンをDIYで魔改造する建築業社長(35)が車よりも自分自身を“ド派手”に仕上げる“意外な理由”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。