8月20日、神戸市のマンションで、見ず知らずの住人女性をストーキングし、殺害に至った驚愕の事件。殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)は、同じくつきまとい行為の果てに、女性に暴行を加えた前科があった。なぜ惨劇は繰り返されたのか。男の「血塗られた人生」を辿った。(全3回の2回目/続きを読む

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 谷本は1989年生まれ、大阪府出身。

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「幼少期に両親が離婚し、父親に引き取られたと聞いています。『母親と離れて暮らすことになったのは父親のせいだ』と話していて、父親に良い印象を持っていないように感じました」(谷本の知人)

谷本将志容疑者 ©時事通信社

 大阪府豊中市内の公立の小学校と中学校に通っていた谷本。クラスでは目立たない存在だったという。

「谷本くんはいつも一人でノートに漫画を描いていた。僕らは友達が少ないもの同士で仲良くしていました。クラスの皆がテレビとかスポーツの話で盛り上がるなか、2人でアニメとかゲームの話をこっそりしていた」(小中の同級生)

 だが、ある時には趣味のゲームを巡り、谷本の“悪癖”が垣間見えたという。

「中学校1年ぐらいの時に仲が良くなって、僕の家に遊びに来ることもあった。でも、谷本くんが来た後、僕の家にあったゲームボーイアドバンスのカセットの『ポケモンルビー』と『ポケモンサファイア』がなくなったんです。当時はニンテンドーDSが出始めたころで、みんなそっちで遊んでいたんですけど、彼はゲームボーイアドバンスしかもっていなかった。絶対、盗んだのはあいつだろうと。それで家に呼ぶのが嫌になって、だんだん疎遠になったんです」(同前)

事件直後の現場付近

「自分の家に帰りたくない」中学では不登校に

 もともと、クラスでも孤立気味だったという谷本。中学の途中から、学校を休みがちになったという。

 別の同級生が語る。

「確か、中2の終わりごろから学校をちょくちょく休むようになって、中3では不登校になった。不登校になる前は、僕の家に遊びに来たこともありましたよ。一緒に晩ご飯を僕の家で食べることもあって。帰りが遅くなりそうだったから心配して『大丈夫?』と聞いたら、『自分の家に帰りたくない』と言っていたのを覚えています。父親と暮らすアパートに戻りたくないんだなと思いました」

 その後、谷本は大阪市内の高等専修学校に進学する。当時を知る教員が明かす。