「谷本くんは静かで、勤勉なイメージ。挨拶もコミュニケーションも普通にできる子でした。私は1年生の時の担任でしたが、学校もほぼ休まず、とにかく真面目という印象。ただ、2年生になってから休みがちになり、進級できずに中退してしまったと聞いています」
実はこの頃、谷本は周囲に「学校を辞めて、就職したい」と漏らしていた。前出の知人が証言する。
「学校の規則で本当はダメなのですが、当時、谷本は『自立したいけど、お金がない。でも父親を頼りたくない』と焼肉屋でアルバイトをしていました。でも、最後は結局バイトも無断で辞めてしまった」
谷本は高等専修学校を中退後、3年半ほど飲食業界で働いた。その後、2011年に神戸市の建設会社に入社。市内にある社員寮で暮らし、同社では10年ほど勤務した。勤務態度はいたって真面目で、物静かな性格は変わらなかったという。
だが、22年5月、谷本は驚くべき事件を起こす。
女性を待ち伏せし、首を絞めるなどの暴行を
「神戸市内で女性の首を絞めて殺害しようとしたとして、殺人未遂の疑いで緊急逮捕されたのです。谷本は女性の自宅マンションで待ち伏せし、帰宅時に部屋に侵入。背中を押して転倒させ、首を絞めるなどの暴行を加えて軽傷を負わせました。女性が親戚を通じて通報し、後日、マンション付近で警戒していた警察官が谷本の姿を見かけて逮捕に踏み切った」(前出・記者)
不可解なのは、この女性に暴行を加えた直後に谷本がとった行動である。
「警察に言わないで」と言い残し逃走
「谷本は暴行後、被害女性の部屋に留まり、約1時間にわたっていかに自分が彼女のことを好きか力説し、彼女を口説こうとしたのです。当然、被害女性は恐怖に震えるばかりで、谷本は最後には『警察に言わないで』と言い残して逃走しました。2人は知り合いではありませんでしたが、谷本は以前からこの女性に声をかけるなど、一方的な想いを募らせていた」(同前)
谷本は同年6月、ストーカー規制法違反の容疑で再逮捕される。その後の捜査の結果、殺人未遂ではなく、傷害などの罪で起訴されることとなった。
そして、神戸地裁での裁判で谷本は有罪判決を受ける。「週刊文春」は当時の判決文を入手。そこには、谷本の犯行について、次のように書かれていた。
