8月20日、神戸市のマンションで、見ず知らずの住人女性をストーキングし、殺害に至った驚愕の事件。殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者（35）は、同じくつきまとい行為の果てに、女性に暴行を加えた前科があった。なぜ惨劇は繰り返されたのか。男の「血塗られた人生」を辿った。（全3回の3回目／はじめから読む）
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「再犯が強く危惧」されながら、執行猶予がついたことで再び、野に解き放たれた谷本は、関西を離れることを決めた。10年ほど勤めた神戸の勤務先は逮捕の一報ののち解雇されていた。向かった先は冒頭で触れた福岡県の産業廃棄物処理業者。面談の結果、谷本は前職での経験を買われて即採用となった。そして、本籍地を福岡に移し、新たな人生を歩み始めようとするのだった。
谷本が勤務した福岡の会社の従業員が明かす。
「22年12月に『求人を見た』と電話があり、すぐに働き始めた。その後は23年1月末まで勤務していました。入社前、うちは産廃業で結構きついので『大丈夫ですか？』と確認すると、『自分は前職で産廃業者に10年ほど勤務していたので大丈夫です』とのことでした。なぜ福岡に来たのかを尋ねると、『地元に戻ると同じような悪いことをしてしまいそうだから』『もう地元には戻りたくない』と」
わずか1カ月ほどで退職したのは「上司とそりが合わなかったため」だという。
「彼に全面的に非がある辞め方ではなかったし、勤務態度はいたって真面目でした」（同前）
辞めた後に借金返済の督促が
ただ折に触れて金銭的な不安が見え隠れしたという。
「彼が辞めた後、借金返済の督促の電話がきて『うちに在籍はない』と説明したことがありました。また、彼は『神戸で親が入院している、その費用を自分が払っている』とも言っていました」（同前）
福岡を離れた谷本は今度は、千葉県の建設会社に転職。こちらも社員寮に住み込みで働いていたが、わずか数カ月で退職。そして23年5月、谷本は東京・新宿区の運送会社に転職し、ドライバーとして働き始める。同社のX社長が明かす。
「面接で千葉の職場を短期間で辞めた理由を聞くと、『上司とうまくいかなくて』と言っていました。東京へ出てきた理由は『関西の悪い友人との関係を断ち切るため』と。応援してあげようと思って採用しました」
