高市は例年通り8月15日に靖国神社を参拝した。総裁選に出れば首相としての参拝実現を再び公約する可能性が高い。これには自民党内でも拒否感が強い。カッとなりやすい性格で、少数与党の国会答弁に耐えられるのかと心配する向きもある。
官房長官の林芳正は、進次郎や高市のような華はないが、維新が相手でも粘り強く付き合う胆力があり、玄人筋の評価が高い。石破を支える官房長官をこなしながら、次の総裁選をにらみ、旧岸田派の自身への「代替わり」を視野に入れる。
8月18日には、かつて属した参院宏池会の会合に参加した。旧岸田派だけでなく、前回の総裁選で林を支援した旧安倍派の古川俊治、無派閥の桜井充らも顔を見せた。前首相の岸田文雄も参加していたが、出席者の1人は「林は岸田に、こういうメンツが自分を支援してくれると見せつけたということだ」と解説する。
公明が阻む維新との連立
自民党の誰が政権を担っても、公明、維新の双方と手を結ぶには難題もある。公明の維新に対する怨恨だ。公明は維新が唱えた大阪都構想に賛成したが、維新は大阪府議会、市議会で単独過半数を獲得すると、昨年の衆院選で公明の牙城だった大阪・兵庫の6小選挙区に候補者を立てて、全面対決に転じた。大阪の議席をすべて失った公明の恨みは根深い。
維新を取り込めたとしても公明が離れてしまえば、衆参両院で再び過半数割れの危機となり、政権運営は暗礁に乗り上げたままだ。(文中敬称略)
※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年10月号に掲載されています(「『石破を替えれば維新と組める』の皮算用」)。
