“令和の米騒動”はいつ終わるのか。また、そもそもコメの異常な高騰の原因はどこにあるのか。宮城大学名誉教授の大泉一貫氏と、キャノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏が語り合った。

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コメは本当に不足しているのか

 ――国会の閉会を受けて石破茂首相は6月23日、コメの店頭価格について「平均価格が下がり始めるなど着実に変化した。5キロ3920円になった」と備蓄米流通の成果を強調しました。小泉進次郎新農相は「コメ増産」の方針も示していますし、これで“令和の米騒動”は一段落、となるのでしょうか。

小泉進次郎農相 Ⓒ時事通信社

 山下 いやいや、スタートラインに立ったばかりというところでしょう。コメ農政はブラックボックスが多く、小泉大臣もあっという間に農水省に言いくるめられているフシがある。先日の委員会でも「不足感がある」なんていう言葉を使っていましたが、「不足感」じゃなくて、コメは本当に不足しているんです。

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 大泉 山下さんは元農水官僚だから問題意識も強いでしょう(笑)。私は小泉大臣のスピード感をもった対応は正解だったと思いますよ。備蓄米の放出についても、江藤拓前農相のようにJA全農(全国農業協同組合連合会)に売却するのではなく、小売業者に随意契約で売り渡した点も評価できる。

大泉一貫氏

 しかし、今回の米騒動の根本原因は何なのか。まずそこをしっかり追究しないと、それこそ参議院選挙が終わったら、政治家も国民も皆あっという間に忘れてしまいそうで、それこそ私は危惧しています。いまこそ、この国の“コメの論点”を整理しなければいけません。