“ポスト石破”候補の「野党の関係」はどうなっているのか? 永田町のインサイド情報を、月刊文藝春秋の名物政治コラム「赤坂太郎」から一部を紹介します。

◆◆◆

 自民の大勢は、衆院の野党第2党・維新の連立入りが最も現実的だとみている。維新には元自民の議員が多く、体質的にも近い。新たに共同代表に選ばれた藤田文武が連立に関し「石破政権とはあり得ない」と断言したものの、総裁が替われば可能性アリという意味である。

 では、誰であれば組めるのか。

ADVERTISEMENT

進次郎と吉村のエール交換

 ポスト石破候補の中で、維新との関係で一歩先んじているのは、農水相の小泉進次郎だ。8月21日、大阪・関西万博を視察すると、維新代表の大阪府知事、吉村洋文が約2時間半の全行程で行動を共にした。

 報道陣の前で、進次郎が「改革の魂を持った政治家で敬意をもっている」と吉村を持ち上げると、吉村も「個人的には進次郎さんは信頼している。改革を進める稀有な政治家の1人だ」と応じた。連立の可能性を感じさせるには十分すぎるエール交換だった。

大阪万博で取材に応じる吉村府知事と小泉農水相 Ⓒ時事通信社

 進次郎は総裁選前倒しへの準備も怠りない。後見人の元首相・菅義偉や党選対委員長の木原誠二を中核に前回総裁選の体制を維持し、前回は前デジタル担当相の河野太郎を支持した約20人を陣営に引き込む算段を立てる。

 前経済安全保障相の高市早苗も維新との関係は悪くない。参院選前、高市が食料品の消費税を0%に引き下げるべきだと主張すると、吉村がすかさず同調したこともある。彼女の足枷は、党内保守派の支持を元経済安全保障相の“コバホーク”こと小林鷹之と二分していることだ。

 反石破派内では、総裁選で保守系候補が競合するのを懸念する声が強い。旧安倍派幹部の衆院議員・世耕弘成は8月5日に高市と密かに面会。翌6日には小林と会って「高市と飯を食べてほしい」と依頼したが、小林はやんわりと拒否した。