AIとの共生が当たり前の社会になりつつある昨今。近い将来、AIエージェントが旅行の日程を考え、飛行機や列車、ホテルの予約をとり、行くべきところ、見るべきところを案内してくれるような時代が来る。しかしそのAIエージェントが誰かに乗っ取られていたり、騙されていたら――。

 ここでは、AIの騙されやすさや弱点にフォーカスを当てた、ホワイトハッカー・宮田晋次氏の著書『騙されるAI 「不可解なパートナー」人工知能との付き合い方』より一部を抜粋。何も書いてない「空白の履歴書」を、AIが「優秀なエンジニアの履歴書」と評価した理由とは。(全3回の2回目/3回目に続く)

写真はイメージです ©takasu/イメージマート

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何も書いていないのに採用したくなる履歴書

 HRテック企業が提供している「採用管理システム」、便利ですよね。候補者のエントリーから履歴書の管理、面談設定、評価まで、一貫して管理ができるので、採用にとって欠かせないサービスとして広まっていると思います。

 私も大変お世話になっています。そんな便利な採用管理システムがさらに便利になり、AIが履歴書を一次評価して、次の評価者に推薦するかどうかを決める時代がすでにはじまっています。多数の応募者がいるような企業では非常に役立ちますし、選考基準の一貫性を保つという意味でも良い仕組みに思えます。

 そんな便利なAI採用管理システムですが、「人間が見ると何も書いていないのに、AIが見ると優秀で推薦したくなる履歴書」を作ることができてしまいます。

 なにそれ? と思う人が多いと思いますが、そういう履歴書はエクセルやPDF編集のソフトがあれば、誰にでも作れてしまうのです。

「百聞は一見にしかず」なので、何も書いていないけれど面接に進めたくなる履歴書を用意してみました。