――ひといきに読み終えてしまうほど心に刺さったとのことで、そんな『人魚のあわ恋』の中での好きなセリフを教えてください。

「笑顔でいる人のところに幸せはやってくるんだよ」です。おそらく咲弥もさらりと何気なく発した言葉かとは思うのですが、朝名がずっと大切に心の支えにしてきた力が宿った言葉だからです。

 

――作品を読むなかで、特に好きになったキャラクターはいますか。

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 朝名です。なんといっても健気すぎて…8年前に咲弥からもらった言葉も大きいと思いますが、過酷な運命を背負っている中でも周りへの配慮ができる優しい子だなと、描きながら涙が出てきそうになる時があります。

 

――キャラクターへのこだわりは、作画にも随所に現れていると思います。本作は明治・大正時代の日本のような、ロマンある世界観で描かれており、登場人物たちの和装が素敵です。着物の柄のセレクトやキャラごとの着こなしのポイントなどはありますか?

 あります。たとえば制服の袴着物ですが、優等生(を装う)・朝名は規則正しい模様の柄、牡丹のように優雅な杏子さんは華やかな牡丹柄などですね。

――タムラさんもお着物がお好きなのでしょうか。

 私自身は、着物を着こなせる方は素敵だなと思うのですが、身近に着ている人がおらず、なかなか和装に接したり着る機会がなくて…でもいつか漫画の参考にするべく、着付けなど習ってみたいです。

――そんな『人魚のあわ恋』は、現在コミカライズ第2巻が発売したてです。カバーイラストでこだわったポイントを教えてください。

 1巻からの朝名と咲弥の距離感の違い、話の内容に沿ってお互いと向き合って心開いていく様子を描きました。着物の色は巻数ごとに変えるというお話をしていて、今回は水色になったのですが、知的でクールな朝名にピッタリな色だなと思っています。発売が9月なので、柄はその頃に見ごろを迎えるお花の桔梗にしました。着彩前に編集担当さんから、桔梗の花言葉のひとつが「永遠の愛」だと教えて頂き、今後の2人の幸せを祈りながら仕上げました!