――そう自分に言い聞かせているフシはある?
ユミ うーん、……でも本当にやりきったって思わないと、そういう考え方になれないと思う。あれはもう一種の薬物みたいなものだから。
――それでも現在も推しがいるんですよね。
ユミ 今は2.5次元舞台の俳優を推してます。今月はDVDのリリースイベントがあって、DVD1枚で舞台の抽選1口なのを20万くらい買って、1カ月合計で40万円くらい使いましたけど、普段は月に10万円から20万円ぐらいしかかからないです。
――一般的な推し活よりはかなり多いですよね。
ユミ まあでも、20万円使って抽選に当たらなかったら、もうファンやめようかと思ってました。昔の自分だったら、イベントがあると「やばい稼がなきゃ」って思って昼職を休んで出稼ぎの予定を組んだり、とにかくお金をかき集めてましたけど、いまはそこまではしたくないかな、って。そんなことしなくても別に満足してるし、悔しい思いをして努力してまで何かを手に入れるのは、もうしたくないんです。結局、当たったんですけどね。いまは平穏な昼職向きの人生を構築している最中なので、10万、20万くらいで私の生活に彩りを与えてくれるぐらいがいいです。舞台俳優の推し活はいいですね、一番安上がりですよ。
――ちなみに、推しと元カレはどっちが好きですか。
ユミ 今の推しは全然好きじゃない。2.5次元の舞台だから、演じてるキャラが好きなんです。好きではないけど、でもありがたい存在。もし推しがいなかったら、昼職を頑張ろうと思わないだろうし。
「今時の若い子は、愛とか恋をやる前に推し活をしちゃってるから…」
――DVD用には出稼ぎを?
ユミ 静岡行きましたよ。でも、「夜職に完全に復帰してまでつぎ込むか」と言われると、そういう段階には至らない。だからありがたいんです。ホストみたいに「何百万円の〇〇ちゃん」って思われると、「私がいなくなったら困る」とかを背負っちゃう。でも大勢に支えられてる人なら、私のことを「ファンの〇〇さん」としか認識しなくて、お互いの個人的なことは何も知らないけど、行けばファンの1人としてありがたがられる。楽だし、現状が平穏で最高です。
――距離感が見つかった、ということでしょうか。
ユミ 私、推しとはヤレないんですよ。いや、推しと繋がってそういうことになった経験もあるけど……。なんか1回ヤっちゃうと、ステージ上でアイドルとして見れなくなっちゃう。それで言えば、ホストって結局は一般人だし。私のなかでホストはちょっと下に見ちゃってるかもしれない。特別に歌が上手いわけでもないし、ステージに立ってるわけでもないし。推しとは、むしろ繋がりたくない。喋りたくない。ただ観に行くだけで、ニコニコして帰ってくる。それで終わりたい。
――「推し」と「好き」は別物?
ユミ でも今時の子は「推し」と「好き」は一緒だと思いますよ。私と同世代の、いま30前半から中盤くらいの人は、中高生のときにメン地下とかもなくて自力で恋愛するしかなかったから、「推し」と「好き」は別物だってわかってる。でも今時の若い子は、愛とか恋をやる前に推し活をしちゃってるから、「推し」が恋愛と同義になっちゃう。こっちからしたら恋愛に見えないけど、その子たちからしたら真剣に恋愛してる、みたいな。いまのJKって、お金を払ったら自分の好みの人に「可愛い」とか「好き」って言ってもらえるんだから、恋愛なんてしたくなくなっちゃうんです。そういう意味では推し活って害悪だと思いますよ。
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