日本橋オタロードで「ポケモンカード」売買

 しかし青年になると変化したという。

「馴染みのカードゲームの店が閉店して、そのあたりから『イキリ』始めましたね。つるむ友達やSNSの投稿などだんだん変わっていきました。不動産の仕事や投資でお金を稼いでいる様子もありました」(同前)

 やがて、自身でカードショップ経営を始めた。山下の店舗「T」は、大阪日本橋のアニメやオタク文化が栄える通称「オタロード」に立地し、「ポケモンカード」の買い取り・販売などを行っていた。それ以外にもビジネスは手広かったようだ。近隣店舗の店員が言う。

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ポケモンカードなどを売り買いしていた(山下容疑者のカード店SNSの投稿より)

「山下さんは顔が広く、“アニキ”的なキャラですよ。他にもコンカフェ(コンセプトカフェ)やシーシャバーなど、近辺で複数店舗の“オーナー”をやっていた。面倒見が良く、自分にも挨拶や声かけをしてくれるので、事件はニュースで知りました。ただ、そういえば以前、ご飯を一緒に食べた時に、うどんの中に大量の醤油や塩を入れて周りに渡したことがあった。そういう学生のいたずらのような悪ノリをすることはありましたね」

コンカフェ嬢に高級ブランド品

 電気街から発展したオタロードには今、夜ともなれば、道ゆく人に声をかけるコンカフェ嬢たちが道路脇にずらっと整列する。あるコンカフェ嬢は言う。

「きちんとねぎらいの言葉をかけてくれるオーナーさんですよ。見た目はいかついんだけど、その割に優しいんだなと思いましたね。羽振りも良くて、キャストが卒業する日には高級ブランド品を買ってきてプレゼントしていました」

日本橋の「オタロード」(©︎文藝春秋)

 他方で金銭トラブルを予感させたことも。

「そういえば、山下さんの経営するコンカフェで働いていた女の子たちが『給料が支払われていない』と不満を口にするのを聞いたことがあります」(別のコンカフェ関係者)

 山下はふとこんな考えを呟くこともあったという。

「頭がぶっ飛んでる人が多いから人生って楽しいんやろうなあ」