大河ドラマとBLドラマを“掛け持ち”
『40までにしたい10のこと』で演じる雀は、そうした狂気とは程遠い役柄だ。仕事でミスをした部下を叱りつけることもなく、むしろ気遣い、出張先からリモートでサポートする優しくも頼れる上司。
同クールに放送されていた『明日はもっと、いい日になる』(フジテレビ系)でも児童相談所でさまざまな問題を抱える親子と真摯に向き合う児童心理司のリーダーを好演しており、近年の風間はどちらかといえば、後進を見守る善良な役が多い。
一方で、雀は自己肯定感の低さゆえに周りの評価や愛情をまっすぐに受け取れないところがある。同僚に慶司との関係がバレそうになった時も真っ先に相手の立場や将来を慮り、距離を置いた雀。「俺は雀さんといられればそれでいいのに!」という慶司の必死の訴えも虚しく、「ここまでにしよう」と心のシャッターを下ろしてしまう。
その後、一人になった部屋でラーメンを啜るシーンは風間の真骨頂だった。慶司の前では必死に押し殺していた感情がどっと溢れ出し、無意識のうちに涙が頬を伝うも、これでいいのだと自分に言い聞かせるかのごとく無理やり笑う。その表情のみにフォーカスをあて、雀の心の動きをじっくりと見せる演出に、制作陣の風間に対する絶大な信頼が感じ取れた。
風間といえば、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』にも江戸の地本問屋を束ねる鶴屋喜右衛門役で出演中。当初は主人公の蔦屋重三郎(横浜流星)と敵対していたが、和解してからは共に本屋業界を盛り上げる仲間となる。
一つの役に多方面からアプローチし、奥行きのある人物像を立ち上がらせる風間の演技は人々を魅了してやまない。その力が改めて評価され、セカンドブレイクの波が押し寄せているのではないだろうか。
