あの声明文作成の「プロセス」が明かされたから読者は驚いたのだが、エジプト大使館とカイロ大が認めているという「結果」は変わっていない。小池都知事にとっては心強い結果だ。しかしそうなると気になることもある。「疑惑のカイロ大声明」によって再選を果たした小池氏は「二期目に入るやエジプト関連予算を一気に増額させている」という事実もあった(「週刊文春」2024年4月25日号)。これにはどんな意味があるのか。
自民党や都連への借りが都政に影響している可能性も
元側近・小島氏の告発に戻すと、小池氏は学歴詐称問題における都議会対策で、
《自民党の二階さんや都連には大きな借りができた。その結果、自民党寄りに変節していったのでしょう。》
借りをつくったことが都政に影響している可能性も指摘していた。
念のために今回の田久保市長との違いを書いておくと、小池氏は大学側が卒業を認めており、卒業証書を公開している。田久保市長は卒業証書をチラ見せしたことが話題になった。除籍なら卒業証書は存在していないはずだ。これら一連の説明が曖昧なのである。
こうしてみると田久保氏が小池氏と似ているのは学歴詐称疑惑そのものではなく、説明する態度だ。小池氏は告発報道後に3期目を目指して東京都知事選に出馬した。しかしなかなか街頭に出てこなかった。理由には「公務」を挙げていた。では都知事選時の公務とはどんなものだったのか?
《公務は都庁に籠もるだけでなく、現場視察に重点を置く。同行するメディアを通じて、2期8年の実績や今後取り組みたい施策をアピールする狙いが透けて見える。》(読売新聞2024年6月24日)
なるほどこの手法なら小池氏にとって厄介なフリー記者に質問されないだけでなく、街頭演説をしなくても露出が増える。老獪な手法だった。田久保市長はこうした小池氏ののらりくらりした「戦法」を参考にした可能性はないか。ただ田久保氏はフリー記者以外からもツッコミの嵐なのだが……。
続いて田久保氏と兵庫県の斎藤元彦知事の比較をしよう。
《議会解散後も、田久保氏は報道陣の取材に「改革への灯は消してはならない」として「改革者」をアピール。SNS上では「既得権益に挑戦している」と支持する声もある。》(東京新聞9月18日)
