田久保氏はメガソーラー建設計画の白紙撤回や新図書館計画中止といった訴えをしてきた。なのでSNSでは「利権につぶされた」という声もあるという。これは兵庫県知事選を思い出す。パワハラ疑惑や内部告発問題に問われながら、出直し選挙で再選を果たした斎藤氏には、「既得権益に切り込みワナにはめられた」との「陰謀論」を信じる支持者の存在が指摘されている(東京新聞8月2日)。既得権益と戦っている人なのに!という支援者の評価が似ていないか?
田久保市長と斎藤知事の最大の共通点は…
ちなみに不信任決議を受けた斎藤元彦兵庫県知事は解散ではなく失職を選び、知事選が行われた。この点は田久保氏と異なる。田久保氏の手法は、前・岸和田市長が自身の女性問題で不信任決議を受け、議会を解散させたのと同じだ。
では田久保市長と斎藤知事の最大の共通点と思えることを挙げたい。田久保氏の学歴疑惑は全市議に送られた匿名の文書で発覚したが、田久保氏は当初「怪文書には対処しない」と一蹴した。斎藤知事も自身に関するパワハラなど7項目の疑惑を指摘した内部告発について「うそ八百」と発言した。斎藤氏は告発を公益通報として扱わず、県幹部に調査を命じて元幹部を特定して懲戒処分にした。告発文書を怪文書扱いされた元県幹部はそのあと死亡した。自死とみられている。
いかがだろうか。権力を持つ側が自身の不都合な情報に対して潰しにかかった点がそっくりなのだ。首長が議会や百条委の判断を尊重しない事態も似ている。そのあと何があっても「真摯に受け止める」などの言葉で乗り切ろうとした斎藤知事の態度からも田久保氏は大いに学んでいないだろうか。
田久保市長を見ていて東京都知事や兵庫県知事の言動をあらためて思い出した。各地で似たような人が出てくるのもどこかわかるような。
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