「この事件を起こした犯人は、まだ捕まっておりません。なぜ、この事件が起きたのか、謎のままです。この犯人が、あるいは、この犯人を知る人が隠れることなく名乗り出て、事件のすべてを語り、罪を告白し、罰を受ける勇気を与えてください」
1995年7月30日夜に発生した、「八王子スーパー強盗殺人事件(ナンペイ事件)」から30年。
被害者の高校生の母校で行われた追悼礼拝で、当時の学年主任の教師から祈りの言葉が捧げられた。
犯人は今、どこにいるのか。なぜ今も未解決のままなのか。NHK総合テレビで毎週土曜夜10時から放送される新シリーズ「未解決事件」File.01では、「八王子スーパー強盗殺人事件」に迫る。
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ナンペイ事件は現在も捜査が続けられる、平成の犯罪史に刻まれる未解決事件。2010年の法改正に伴い、時効が撤廃された事件のひとつだ。
事件当日にいったい何が起きていたのか、捜査はどのように行われてきたのか。私たちは犯人を追い続けてきた捜査員をはじめ、事件関係者、近隣住民や法曹関係者ら200人以上を取材した。
「強盗か、怨恨か」あらゆる可能性を考え、捜査は始まった
事件が起こったのは、スーパーの売り上げが多く集まる月末の日曜日の夜。
東京都八王子市大和田町のスーパー・ナンペイの2階事務所に何者かが押し入り、パート従業員の稲垣則子さん、アルバイトの女子高生の前田寛美さん、矢吹恵さんの頭部を拳銃で撃って殺害、逃走した。
地元客が利用する、こぢんまりとしたスーパーで突然、起きた凶行だった。事件発生の推定時刻は午後9時15分ごろ。わずか数分間の犯行とみられ、現場にはいくつもの謎が残されていた。




