リクルートなどで30年以上にわたって転職市場に携わり、独立後はミドル世代専門の転職コンサルタントとして活躍する黒田真行さんが、今年4月に上梓した『いつでも会社を辞められる自分になる』の内容をもとに、40代転職の現実と成功の秘訣を語った。

(初出:「文藝春秋PLUS」2025年9月6日配信)

 

「いつでも会社を辞められる自分」の本質とは

 黒田さんは転職・中途採用の仕事に関わってきた経験から、「いつ会社を出ても食っていける自分を作るということが、いい転職をする究極の方法」だと断言する。

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 一般的には「転職をするんだったら、30歳とかその20代のうちじゃないと厳しい」と言われることが多い。黒田さんは35歳から45歳までを「キャリアの折り返し」と位置づけ、「求人が減り始めるのは35歳ぐらいから徐々に」始まると指摘した。20代後半から30代前半が「転職のゴールデンゾーン」で求人数が最も多い一方、30代後半からは「徐々に転職マーケット、採用する側の目線は厳しくなってくる」という。

 求められる能力も変化する。30代前半までは「即戦力の最前線プレイヤー」として見られるが、40代が見えてくると「10年後に経営者候補になる人なのかどうかという目線で吟味される」ようになる。

転職に強い40代と弱い40代の特徴

 黒田さんは転職に弱い40代の特徴として、「40代で1度も転職したことがない」「比較的順調に出世コースを歩んできた」「給与とかポジションで恵まれた条件にある」人を挙げた。一見強みに見えるこれらの特徴が、転職においては「脆弱性」になるという。

 理由として、「単一の価値観で長く1つの価値観を持った集団の中に長くい過ぎてる」ことで、「物差しがバリエーションがない」状態になり、「他の文化を受け入れづらくしてる」ことを挙げた。

 逆に転職に強いのは「1回や2回は転職経験があって、複数の会社、複数の職場の価値観とか仕事の進め方の違いを知ってる」人で、「その中で成果を残してきている」ことが重要だという。