不倫に対して、世間の目が年々厳しさを増しています。実際、博報堂生活総合研究所の調査(2016年)によると、「好きならば不倫な関係でも仕方がないと思う」と答えた人の割合は約10%にすぎず、20年前の調査と比較して半減しています。
ひとたび不倫が発覚してしまえば、マスコミやネットで容赦なくバッシングされます。本人の社会的信用はもとより家庭も崩壊の危機に直面します。経済的なリスクも多大です。議員辞職に追い込まれた人もいれば、CMやドラマから降板を余儀なくされたケースも多々あります。相手側の家族から訴えられる危険性もあります。
しかし、これほど失うものが大きいことがわかっているはずなのに、依然として不倫は次から次へと発覚し、一向に減る気配がありません。いったいなぜなのでしょう?
不倫をつかさどる遺伝子と脳内物質
結論から言うと、今後の人類社会において、不倫がなくなることはおそらくありえないだろうと考えられます。
なぜなら、人類の脳の仕組みは、「一夫一婦制」には向いているわけではないからです。
近年、脳科学の劇的な進歩によって、性行動に大きな影響を与える遺伝子や脳内物質の存在も明らかになってきました。また、人が持つ遺伝子のうち、たった1つの塩基配列の違いによって、性的振る舞いが一夫一婦の「貞淑型」から「不倫型」になることすらあるのです。
こうした研究成果は、端的に「人類の脳は一夫一婦制には向いているわけではない」ということを示しています。不倫に走る人々を、ことさら「淫乱」とか「倫理観を持ち合わせていない」などと安直に断罪することは、物事の本質を見誤らせる元凶にもなりえます。
私たちの脳は、ただ遺伝子や脳内物質に操られているだけです。いくら不倫バッシングが強くなろうと、大切なパートナーが怒り狂おうと嘆き悲しもうと、不倫がなくなる日がやってくることはないでしょう。