「で、客が多そうだったら出会いカフェへ行くし、少なかったら公園へ。公園へ行って、客がいたらそのままホテルへ行って。客がいなかったら公園内の喫煙所で太陽を浴びながらタバコを吸って。太陽浴びるのはリハビリ。なんか病まなくなるから。まあ、客入りの状況を見て、公園と出会いカフェをグルグル回る感じかな」

 1ヶ所に留まることを嫌い、公園と出会いカフェとを回遊する。場所移動を繰り返すのはあくまで客探しのためだ。

「ときには3千円でもやる」

「でも出会いカフェって苦手なんだよね。狭いし、ちゃんとトークしないと店員に怒られるしで。で、そのうち公園仲間の未華子と合流して、お腹が空いたら『にいむら』(歌舞伎町・セントラルロード沿いにあるしゃぶしゃぶ専門店)でしゃぶしゃぶランチ食べて。公園の子は『にいむら』に行きがち。ほら、ランチタイムが15時までだから助かるんだよね」

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──公園ではいくらで売るの?

「基本はイチ(1万円)で本番。いまの相場はそれくらい。でも、ときには3千円でもやる。結局、この仕事はチリツモ(ちりも積もれば山となる)だから。3千円でも10人客を取れば3万円だから」

写真はイメージ ©getty

──最初の客のこと、覚えてる?

「相手の顔も、プレイ時間も覚えてない。夏だったから、『暑い、汗かいちゃった。お風呂入ろう』って言って、秒でシャワー浴びる。で、『寒いからベッド行くわ』とか言ってベッドに行くじゃん。で、客とのセックスはリアクション芸だから、こっちは風俗歴の長いプロだからサクッと感じてる演技して、3分後には『もう入れたい』ってこっちから切り出して。で、『ありがとね。またね』とか言って、バイバイ。それでお互いハッピー」

──でも、嫌な客もいるでしょ? 態度に出たりしないの?

「地雷はしない(地雷=外見が良くなかったり、接客態度が悪い風俗嬢を指す。ここでは接客態度を悪くしない、という意味)。逆上されたら怖いから」

──今日も立ったの?

「うん。なんか気疲れしたから1本(ひとりの客)しかやらなかったのかなぁ」

──決まったラブホがある?

「うん。いつもハイジア横のレンタルルーム。安くて(60分3千円)、わりとキレイで、しかも1時間制だから。2時間制とかだと客に長居されちゃうからね。あとね、他のラブホは移動手段がエレベーターが多いなか、いつも使うところは階段だけ。階段だとエレベーターの到着待ちでまごつくことがない。だから、客がシャワー浴びる隙に財布を盗んで逃げる子もいるよ。でも、私はやらない。バレて殴られたりでもしたら嫌だから」

──稼いだお金は何に使ってるの?

「洋服と、日々の生活費でほとんど消える。たまにホストクラブにも行くよ」