日本の司法には存在しない概念
本訴訟で各原告が請求している損害賠償金は5000万ドル(約75億円)、加えて懲罰的損害賠償金が1億ドル(約150億円)、合計約225億円になる。この懲罰的損害賠償は日本の司法には存在しない概念だ。
「何より大事なのは被告たちが制裁を受けることです。この国(米国)では、企業の財務状況に則してその企業が二度と立ち直れない、つまり同じ過ちを再発させないためにどれだけの賠償金が妥当かと考える傾向があります。それゆえ、日本には存在しない懲罰的損害賠償という概念があるのです」
原告の訴状は、今夏、数々の国際間手続きを経て、藤島ジュリー氏ら被告各人に送達された。これは、訴訟が正式に始まったことを意味する。現に被告らは、8月28日、期限に合わせて回答を提出している。
「今後は、裁判所が被告が提出した『却下申立て』と、同時に彼らが出した『書類の非公開・黒塗りの申立て』を審理します。10月21日と12月16日の両日が予定されています。審理までの間に、私たちは反対意見陳述書を出します。それに対し、相手側は答弁書を届けることが可能です。
判決がいつ出るかは裁判所次第ですが、却下申立てを棄却した場合は、ディスカバリー(証拠開示手続き)、そして公判へと進んでいきます。この段階で、ジュリー氏をはじめとする被告たちはネバダの裁判所に出廷することになるでしょう。反対に、却下申立てが認められてもそれで終了ではありません。私たちが控訴しますから」
本裁判に関わることになった経緯から、米国弁護士としての事件への率直な感想、日米の司法の違い、被告人選定の判断、勝訴の見込みについてまで、10ページにわたるブレナン氏のインタビュー「藤島ジュリーを逃がさない」は、10月10日(金)発売の「文藝春秋」11月号に掲載される(月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」では10月9日に先行公開)。
