「証券業界から離れたのは2003年の末。数字を出せない外務員はムダ飯食いってことです。切られる前の3か月間は手取りが10万円カスカスだったので仕方ない」

妻子を養うため「下に見ていた消費者金融」に転職

 ネット証券も台頭してきたので新たな受け皿はなし。就職支援会社に通ってどうにか見つかったのが消費者金融だった。

「正直なところあまり気乗りしなかった。消費者金融というと我々の世代はサラ金と下に見ていたし、かなり問題を起こしていて社会的評価が低かったから」

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写真はイメージ ©getty

 本音を言えば嫌だったが妻子のある身。給料も就職支援会社に来ていた他社より良い。生活の糧を得るため、妻子を養うためと思うようにした。

「豊田市の支店に置かれて融資審査、督促回収、法的処理などを担当しました。朝夕にはティッシュ配りもやりましたよ」

 収入的には年収430万円ぐらいあったし、大手各社が派手なCMを流したのでイメージは変わってきたが、最高裁がグレーゾーン金利は違法としたことで状況が一変する。

「弁護士や司法書士から過払い金の返還請求が山のように来た」

 更に闇金対策で貸出額に総量規制が掛けられるようになったので新規の貸出しは最小限。回収方法も以前のようなやり方は通用しない。業績は悪くなる一方だった。

「支店の閉鎖、統合、無人化などがあり希望退職の募集も始まったので、もう駄目だと諦めたんです。僅かでも退職金を貰ってバイバイした方が得策だと思いました」

 消費者金融会社を辞めたのは2015年6月。年齢は43歳になっていた。

次の記事に続く こんなしょぼいおっさんになるなんて…〈年収550万→300万円に〉“キャリアダウン転職”を続けた「53歳男性のその後」

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