元恋人にフォークで鼻を刺されて警察沙汰になった実話を漫画化し、SNSで大反響を呼んだ漫画家の前田シェリーかりんこさん。今年8月には、過去の恋愛経験を赤裸々に綴った2作目のコミックエッセイ『お気楽ポジティブ女の私がメンヘラ製造機になった話』を上梓した。

 かりんこさんは、過去に交際してきた恋人たちから、モラハラやDVの被害に遭うことが多かったという。彼女は過去の恋人からどんな被害に遭っていたのか。なぜ恋人たちはモラハラやDVをするようになったのか。かりんこさんに話を聞いた。(全2回の1回目/2回目に続く

前田シェリーかりんこさん ©石川啓次/文藝春秋

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19歳の時にできた恋人から「俺のこと別に好きじゃないでしょ」と言われた

――『お気楽ポジティブ女の私がメンヘラ製造機になった話』では、かりんこさんが付き合った恋人からモラハラやDVを受ける様子がリアルに描かれています。そもそも、初めて恋人ができたのはいつだったのでしょうか。

前田シェリーかりんこさん(以下、かりんこ) 最初に恋人ができたのは、17歳の時なんです。ただ、そのときは私があまりに子どもすぎて。

 一応、「付き合おう」という言葉はあったのですが、「付き合うって何?」「友達と何が違うんだ?」と思っているうちに、連絡を取らなくなってしまいました。だから、付き合っていたとカウントしてもいいのか悩みますね……。

――では、ちゃんとお付き合いした最初の恋人が、漫画にも描かれている19歳の時のアルバイト仲間だったのですね。

かりんこ そうです。2ヶ月も経たないうちに「かりんこちゃんって、俺のこと別に好きじゃないでしょ」と言われて、振られてしまいましたが。

――なぜ、「好きじゃない」と思われてしまったのでしょう。

かりんこ 当時もですが、長らく「恋愛感情」がよく分からなかったんですよね。でも、相手から「好きだよ」と言われたら、私の存在を認めてもらえたような気がして、嬉しくて。それで、「じゃあ付き合ってみようか」ってお付き合いがスタートすることが多かったんです。

 

――でも、付き合ってみても恋愛感情は結局分からなかった?

かりんこ はい。相手のことはもともと友達として好きだったので、一緒にいるのは楽しいな、とは思っていました。同時に、「私を認めてくれた人に、嫌われたくないな」とも思って。恋人になってからは、相手に合わせてばかりいましたね。

 そうしたら、「かりんこちゃんって、自分の意見を言わないよね」「最初は合わせてくれるのが嬉しかったけど、だんだん『信用されていないんだな』と虚しくなってしまった」と言われてしまったんです。

 付き合うって、ただ相手に合わせるだけじゃだめなんだ。ちゃんと相手と向き合わなきゃいけないんだということを、彼とのお付き合いから学びました。