出川哲朗 ©AFLO

 出川哲朗は、ゲストの証である自分と同じスイカ柄のヘルメットを被った人物の正体を確認し崩れ落ちた。

「ええええ! ちょっと待ってぇ〜」

 そこに座っていたのは明石家さんま。遠く山形まで呼ばれたことを笑いながらツッコむさんま。これは地元の人たちに充電をしてもらいながら電動バイクで旅をしていく番組。このゲスト出演が実現したのは、出川がさんまの正月特番のエンディングで「是非、出てほしい」とお願いしたことがきっかけ。もちろん、出川は半ば冗談で言ったのだろう。何しろ、多忙を極めるさんまだ。めったに他のタレントの番組にゲスト出演することはない。出川自身も番組中で「この番組出たって何一つメリットないんスよ!」と語っている。そんな番組に何故出たのか。出川は言う。

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「ハートで動く人なんですよ」

ゲスト出演した明石家さんま ©JMPA

 もはやさんまはどんなに金を積まれても自分が意義を感じない番組に出ることはないはずだ。だが、人と人との関係性があれば、何をおいても出る。そういうタイプの人間なのだろう。まだ出川が嫌われ者芸能人の代名詞だった時期、「出川のような二流タレントになりたい」と言った女性にさんまが「出川は一流や」と返した逸話はあまりにも有名。何十年も前からその実力を認め、信頼を寄せてきた出川が、遂にゴールデンタイムに冠番組を持った。ならば、かつて局内トップの高視聴率番組にした自分の番組を打ち切るという不義理をされ、二度とテレビ東京には出ないと決めたことを破ってでも出演するのはさんまにとって自然のことなのだろう。

 思い返すと、頻繁に素人と絡むロケを行う笑福亭鶴瓶などとは対照的に、さんまは苦手意識があるのかあまりその手のロケをしない。だから、地元の人たちに呼びかけられ「あいよー」「お疲れさん」などと応えたりするさんまの姿は新鮮だ。スイカヘルメット=出川というイメージが強いため、先に出川に気づく人たちが、メットとメガネをしたさんまに気づかなかったりするのも面白い。まさか、さんまがいるなんて思わないから無理もない。そんな時、さんま自ら「さんまやでー」と言って笑うのだ。そこに「壁」なんてない。

 さんまや出川の周りに集まる人はみんな笑顔。パーッと明るくなる。まさに「スター」としか言いようがない。最後にさんまはつぶやいた。

「だんだん俺、ロケ得意になってきたわ」

出川哲朗の充電させてもらえませんか?
テレビ東京 土 19:54〜20:54
http://www.tv-tokyo.co.jp/degawacharging/