特に総連の建物については、司法により公開競売となり、その第1回が不成立となった。在日朝鮮人にとっての大切な会館に関して、許議長も大変な苦労をされている。この問題は金融機関が処理すべきで、政治が介入すべきではないと理解していたが、最大限政治的に考えるべき状況となった。最初の競売が不成立になったことは、これは予想できたことだ。
安倍総理も菅官房長官も北朝鮮に懐疑的
日本では、1年に1回内閣が替わる状況下で、私には力はないが、安倍政権が今度の参議院選挙で過半数を取ることは100%確実だ。少なくとも長期に安定する安倍政権ができ、好むと好まざるとに拘わらず、日朝関係も進め、100%後戻りしないように解決してくれることを期待している。大きなトゲを抜いて、一気に関係を改善するため、米中韓を含めた国際情勢を好転するように持っていかなければならない。
今回の訪問で、私が自分の目と耳で確認し、菅長官、安倍総理に報告したい。菅長官も安倍総理も、率直に言って、共和国に対しては100%懐疑的になっている。過去には、一歩二歩と進むと、また二歩三歩と下がってしまっていた。以前、米国の[クリストファー・]ヒル[元国務次官補]が、水面下で私に接触してきたことがあり、私の考えを述べたことがある。米国も中国も韓国も、結果的に共和国に対する疑心を持ち続けている。金正日国防委員長が信頼された許宗萬議長との関係でも、許宗萬議長には力がない、本国への影響力もないと見られている。私は許宗萬議長を信頼して、日朝関係の調整において、何度も面談して話し合ってきた。若き最高指導者である金正恩国防第一委員長が、トゲを取る決意をされることが、日朝関係にとっても、各国との関係においても大切なことであり、かつ時間がなく緊急を要することでもある。
拉致問題解決の3項目
拉致問題は人道問題であり、いかなる国もその進展に反論できないようにし、心と心で信頼できる関係に向けてスタートして解決してほしい。自民党の安倍内閣以外には、現状の突破は無理であり、総理と国防第一委員長との間で、一気に解決に向けて持って行きたい。小泉内閣時代、小泉訪朝の場合も、政府内、内閣の中には反対する人々がいた。しかし小泉総理は、私と許宗萬議長との関係を尊重し、訪問を決断した。今回の訪問結果は、私の判断で官房長官と総理に報告したい。そのためには、最高指導者たる金正恩国防第一委員長の判断を確認して帰れることを期待している。
