両親ともに東京大学を卒業というエリート一家の長男に生まれ、自身も東大理学部を卒業したみずきさん(29)。現在は専有面積約8平米、家賃月3万8000円のワンルームアパートで暮らしている。

 玄関を開けると食べ終わったカップラーメンの容器が転がり落ち、部屋の中は衣服などであふれ、コバエが飛ぶ、いわゆる「ゴミ屋敷」だ。東大在学中に女性服やメイクに目覚め、「ゴミ屋敷に住む可愛い女の子」と称されることもあるみずきさんは、配信活動を通してファンから高級食材ももらうこともあるといい、自炊もしている。

東大を卒業し、親から実家を追い出されて住み始めた部屋がゴミ屋敷となったみずきさん ©石川啓次/文藝春秋)

「公務員にならないなら出て行け」母との関係が限界に

 みずきさんがこの部屋に住み始めたのは今から6年ほど前、24歳のときだった。きっかけは母親に実家を追い出されたことだという。

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「母から公務員になるよう言われていたのですが、私はもともと研究者になりたくて東京大学に進学したので、なりたくなくて。母から『公務員にならないなら、面倒を見きれない。家から出ていけ』と言われました」

 幼少期から母親との関係はあまりよくなかったが、この件を機に「誰かの機嫌に左右されない安全な場所が欲しいと思って」一人暮らしを始めた。不動産仲介業者に「狭くても、なるべく安く」「共用でないシャワーとトイレという条件を出して探してもらった結果、現在の物件にたどり着いた。

ゴミ屋敷で生活していて困ることは?

 家に多いのは衣類で、ゴミは「頻繁に捨てていますよ」とみずきさんは話す。ただ、生ゴミは最近月に一度くらいしか捨てられていないようだ。

 今の家に住んでいて困ることは何か。「探し物をしていて困ることは結構あります。最近も、ファンデーションが見つからなくて、仕方なく新しいものを買いました」とみずきさんは話す。

自宅でインタビューに応えるみずきさん ©石川啓次/文藝春秋)

「あとは、ゴミがどうというよりも、とにかく狭い。生活できているし、家賃が安いからと自分を納得させているけど、やっぱり間違いなく狭いです」

 現在はアパレル企業とIT企業に勤務していたころの貯蓄を中心に生活しているが、来年1月の契約更新のタイミングで引っ越しを考えているという。

「この家を探していたころは嫌だったのですが、今は共用のシャワーやトイレでもいいかなと心境も変わったので、もう少し安い物件を探そうかなと」

 部屋が広くなればモノは減るのかと聞くと「実家がそうだったように、結局は、広い狭いに関係なく空間が全部モノでいっぱいになってしまうんじゃないかと考えています」と答えた。


 みずきさんが住むゴミ屋敷の詳細や、女性服やメイクに目覚めて“大変身”を果たした姿などは、下記のインタビュー記事全文からご覧ください。

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