松井氏は当初、府の候補地案の中に夢洲は入っていなかったと明かしている。そして「ベイエリアの発展は、大阪の成長には絶対に必要だ」とし、当時の菅義偉官房長官に夢洲を入れるようお願いしたと語る。それだけではベイエリアの発展には不十分だと思い、「だから(カジノを含む)IRだ。そうしないと夢洲の価値は上げられない」と答えていた。
「やっぱり怖いミャクミャク説なのである」
万博招致の経緯を検証したノンフィクションライターの松本創氏は「要は万博を引っ張った人たちの目的はIR、夢洲の開発なんです」と指摘している(毎日新聞2月8日)。さらにメガイベントというのは「どんな形であれ、終わってしまえば、なんとなく『やってよかった』という空気ができ、それに乗じて関係者は『大成功だった(私の手柄だ)」と言い募る」と開幕前からすでに予言していた。
そういえばIR(統合型リゾート施設)と言い換えてはいるが「カジノに賛成している党はこの自民と維新しかない」(政界地獄耳・同前)。なるほどカジノ連立という側面もあるのか。
始まってみたら慣れたというミャクミャク(=万博)だが、その政治的な正体を考えると本当は怖い、いや、やっぱり怖いミャクミャク説なのである。万博には巨額の経済効果があるという売りだったが本当にそうなのかも含めてメディアはきちんと検証したほうがいい。
しかし当のメディアはのん気なものだった。「報道ステーション」の大越健介キャスターは万博閉幕を会場から伝えたが、出てくる言葉は次のようなものだった。
「万博なんて、わずか半年で消えるつかの間の舞台だと冷めた視線が注がれるのも当然だと思います。でも、それを言い出したら私たちの人生だって、つかの間の舞台であるという点では同じことです。それならば、ネガティブな要素に着目するよりも共有できる希望の種を見つけ出したいものです」
凄い! うっとりしている。「それを言い出したら私たちの人生だって、つかの間の舞台」と言うが、それを言い出したら今後どんなニュースも論評できなくなる。報道はプロセスを検証することも重要ではないのか? あと「ネガティブな要素」というがチェックすべき事実でさえネガティブと言ってしまったら報道番組は必要ない。
大越キャスターの言葉はさらに続いた。
「万博に多額の公金、公のお金が使われたことに疑問の声もありますけれども、これを一種の投資だと考えれば、効果はこれから表れると考えるべきでしょう」