これでは為政者のやりたい放題になる。どこにどう公金が使われるか見ておくのは報道の役割だと思うが、これでは「報道しないステーション」である。

「維新は自民党の嫌がる話をしなくなった」

 さて大越キャスターが寝言を言っている間に維新と自民の連携交渉も「正体」をあらわにしてきた。

 維新側は連立の絶対条件として国会議員の定数削減を持ち出した。え、注目は企業団体献金への規制など「政治とカネ」ではなかったの?

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大阪府知事の吉村洋文氏 ©時事通信社

 その理由がギョッとする。

「定数削減を突然訴え始めた理由について、維新幹部は『献金禁止は厳しいから』とし、論点を『献金禁止』から『定数削減』にずらす思惑もあると打ち明ける」(朝日新聞10月18日)

 維新は自民党の嫌がる話をしなくなった。最初から与党になりたかっただけと言われても仕方がない。政治家に野心があるのは否定しない。重要なのは「野心」を有権者に響く「大義」にどう変換できるかではないか? それでいうと直近の民意はどうだったか。参議院選では物価高からの経済対策が問われた。さらに公明党が自民党との連立解消で改めて問うたのは政治とカネの問題だった。この2点をどう「大義」にするか注視していたが、権力に近くなると「何が話されなくなるか」があらわになった。

 国会議員の定数削減についても注目すべき点がある。

「比例代表の定数削減なら選挙区を調整する手間もかからない」(日本経済新聞10月18日)

 これを見てあるニュースを思い出した。「公明、小選挙区一部撤退、比例に注力」という報道だ。

 自民と維新の天敵である公明党が今後は比例に注力するという。その矢先に比例代表の定数削減が言われている。公明潰しにも見える。公明だけではない、維新の言う衆院比例50減なら少数政党ほど大きな打撃を受ける。少数意見の切り捨てになる恐れがある。これをあっという間にやろうとしている。やっぱりミャクミャクの正体は怖かったのである。

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