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司法が目指す被害者救済――新しい正義の形
刑事司法において被害者救済のためには、何よりもまず裁判過程において真実がどのようなものであったか真実の究明がなされ、厳格な判断が下され、加害者に刑罰が与えられるというプロセスが必要なステップであるのは間違いない。
「責任追及なくして真の和解や永続的な安定はありません。ICCは、最も重大な犯罪の被害者にとって希望の光であり、残虐行為を犯した者には間違いなく責任を負わせなければなりません」と、赤根所長は「国際平和デー」(9月21日)でメッセージを発している。
一方でICCのアプローチに見られる、直接の被害者のみならず被害を負ったコミュニティ全体の回復や記憶の承継をも目指すという視点、被害者の心理的医療的支援も含めた包括的な救済が目指されている点、さらにトラウマを負った証言者の保護を十全なものにすることで証言の証拠能力を上げると同時に、証言者自身の精神状態のケアにも最大限に配慮する視点には大きな感銘を受けた。
このアプローチについて(越智萌さんの『誰が戦争の後片付けをするのか』ちくま新書、では「変革的正義」と位置付けられている)、日本国内で新しい被害者支援と加害者更生のあり方を模索している日本財団の取り組みもまじえて、もう少し詳しく紹介してみたい。
