『G.I.ジョー』(2009)をきっかけに、『REDリターンズ』(2013)などハリウッド映画にも進出しているビョンホン。アメリカのトークショーに出演する際には流暢な英語でトークもこなしているが、生放送や生のステージはかなり緊張するという。

「特に海外のプロジェクトは今も慣れないし緊張しますね。『G.I. ジョー』の時は、『グッド・バッド・ウィアード』(2008)、『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』(2009)と時期が重なって、出演をどうするか悩みました。パク・チャヌク監督は『やってみたら?』と言うし、『グッド~』のキム・ジウン監督は『そんなのやめとけ』と言うんです。アクションも必要だったので肉体的にも非常に大変だったけれど、結果として全部引き受けてしまいました。やらないより、やって後悔した方がいいですから」

アカデミー賞授賞式直前、アル・パチーノにした質問

 そのチャレンジ精神と努力が今の地位を築いたのだろう。この人の話を聞いていると、芸能界でなくても成功しただろうと思わせるものがある。さらに面白いエピソードも明かしてくれた。それは2016年のアカデミー賞授賞式でプレゼンターをした時のこと。

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「アカデミー賞の前に、アル・パチーノさんと食事をする機会があったんです。そこで『授賞式でどうしたら緊張しないですみますか?』と聞いたところ『自分も緊張するよ』と言ってくれました。そして『カメラの前で演技するのは緊張するか?』と聞かれたので、『しない』と答えたら『それなら授賞式のカメラの前でも、誰かになりきって演技をするつもりでステージに上がればいい』とアドバイスをくださいました。でも当日、マイクの前で『ハロー、イ・ビョンホンです』と自分の名前を名乗った途端に、キャラクターが作れなくなって失敗しました。緊張するのは、舞台の経験がほとんどないからかもしれないですね」と笑った。

「アクターズ・ハウス」で語る ©2025BIFF

 自分の好きな出演作として『甘い人生』(2005)、『夏物語』(2006)、『悪魔を見た』(2010)をあげた。どれもキャラクターが好きだが、初恋を振り返る『夏物語』の主人公が本来の自分に近いと思う、とのこと。