演技を学ぶ学生にしたアドバイス
「アクターズ・ハウス」の終盤は、観客との質疑応答に。演技を学ぶ学生からの「演技に入り込めないときにどうすればいいか」と言う質問には、「緊張するとリミットが生まれてしまうので、本番前にストレッチや軽い運動をしたり、スタッフと仲良くして冗談を言い合うとか、なんでも良いので自分自身をリラックスさせてみて。それから出すべき感情に集中するとやりやすいですよ」と具体的にアドバイス。さらに「テレビドラマの場合ははっきり、時には過剰なくらい感情を見せることもある。一方、映画は感情を内側に持っていれば、やり過ぎなくてもそのまま観客に伝わるものです。感情を訴えようなどと思うと、スクリーンの前の観客が不快になることもありますよ」とテレビと映画の演技の違いを語った。
俳優業の不安定さに打ち勝つことについては「この話は後輩によくするのですが、俳優というのは待つことが職業。一つの作品が終わったら、次にいつオファーが来るかわからない。でも仕事を待っている間は準備の時間なので、休んでいる暇はありません。英語を学んでもいいし、小説や本を読むのも良いので、次の仕事のために備えてください。そうすれば不安も解消されます」と語った。これは俳優でなくても、刺さるアドバイスだと思う。
“韓流四天王”でイ・ビョンホンだけが第一線に居続けられる理由
このビョンホンの話を聞いて思い出したのが、約20年前、第一次韓流ブームの頃に韓国の芸能関係者に取材した際に聞いた、「今、日本では韓流四天王と言われているけど、残るのはイ・ビョンホンだと思いますよ」という言葉だ。当時、ヨン様ことペ・ヨンジュン、チャン・ドンゴン、ウォンビン、そしてイ・ビョンホンが日本では四天王と言われていたのだが、現在ヨン様は実業家へ転身、ウォンビンはほぼ引退状態、チャン・ドンゴンも2020年のスマホメッセージ流出事件によってイメージが失墜し、今も回復できていない。イ・ビョンホンも2015年に猥褻会話事件などスキャンダルはあったが、脅迫されたことを自ら通報したこともあり、一時的なイメージダウンに留まり、演技派としての地位は揺るがなかった。
BIFFの終了後、韓国の文化勲章・宝冠を受章することも決まった。自ら芸能事務所BHエンターテインメントを創業し後輩を育てていることや(日本の唐田えりかも韓国ではBHに所属)、2013年に結婚した妻イ・ミンジョンとの関係が安定していることも含めて、危機対応がしっかりしている頭の良さ、そして未来に備えて努力を続けられること。それがイ・ビョンホンが第一線に居続けられる理由なのだろう。

