九州出身の紗希(仮名・20歳)は、上京後のいじめをきっかけに非行に走り、偽造身分証でキャバクラに勤務。年齢が発覚するたびに店を転々とするうち、夜の世界で生きる術を覚えた。19歳まで恋愛経験がなかったが、20歳でホストの彼氏ができ、彼を支えるためにソープ嬢となり、月300万円を稼いでほとんどを彼に渡した。やがて彼氏の勧めで、リスクの高い路上売春(立ちんぼ)にも手を染める。
彼女のその後を、ノンフィクションライターの高木瑞穂氏の文庫『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
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月収100万円代にまた届いたけど…
ソープでいちばん稼いでいたころとまではいかないが、先月の実入りは100万の大台に届いた。当初抱いていた葛藤は、初日に5万円を持って帰り、彼氏に頭を撫でられたときから消えていた。
──公園で稼げなくなったらどうするの?
「うーん、考えられない。私はいまを生きてるだけだから」
──また風俗に戻るとか?
「あっ、というか、稼ぐため最近、歌舞伎町の素人専門デリヘルにも在籍して、そこと併用してやってる感じ。でも、そのデリヘルが新店で、ヒマで稼げないんだよね。だから、まあ、稼げるこっちばかりになっちゃってる感じだけど」
──彼女に立ちんぼさせるなんてそのホストの彼氏、けっこうえげつないと思うよ。
