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キースはアニタが働くことを嫌がった
やがて男の子が生まれる。名前を考えていた時にマーロン・ブランドから電話があり、「マーロン」と名付けた。こうしてブライアン、キース、ミックと、ストーンズのメンバー3人を翻弄した“魔性の女”が落ち着くところに落ち着いた。めでたしめでたしで大団円……、とはいかない。物語はまだ半分しか進んでいない。むしろここからが重要だ。
キースはツアーに出る。幼い子どもを連れていけないからアニタは息子のマーロンと家に残る。
「キースは私の仕事に無関心になり“家にいろ”とお金をくれた。お金の問題じゃないのに。私は演技がしたかった」
俳優の仕事を続けたいというアニタの気持ちをキースは理解しなかった。アニタが働くことを嫌がった。このあたり、アニタに共感する女性は多いのではなかろうか。
「裏切られたと感じた。ヘロインは温もりと居場所をくれる。だからすがった」
2人目の子どもが生まれたが生活はキースの音楽が最優先。自宅はアルバム制作のメンバーであふれかえった。息子のマーロンが当時のことをインタビューで答えている。
「キースのツアー中、僕らはいつも留守番だった。子連れの同行は疲れると母が悟ったんだろう。母親の目で見ればツアーの空気は独善的で醜悪だ。ステージに立つ男たちのために全てがあり、他の人間は無視される」


