薬に溺れていくも、アニタは人生を取り戻す

 そんな時、生まれたばかりの第3子が突然死するという悲劇に見舞われた。キースはパリでのツアー中にその知らせを聞いたが、そのままステージに上がって『ホンキー・トンク・ウィメン』を演奏したというのだから、いかにも“らしい”。

©Brown Bag Productions,LLC

 アニタは薬物におぼれ、キースとの仲もこじれる。このまま堕ちていくかと思いきや、見事な復活を見せる。どういう風に人生を取り戻したのか、詳しくは作品を観ていただくとして、アニタは息子のマーロンと同じ時期に大学に通う。ストーンズに関係なく一学生として学び、卒業する。老境を迎えてなお「ファッションアイコン」と呼ばれ、「女性として濃密で危険な人生を生きた」と称賛され、スーパーモデル、ケイト・モスから「女性の理想そのもの」と称えられる。最後にキースがアニタについて語る。

「俺の女だった。彼女のおかげで男になれた」

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 ストーンズのキースにこう言わせるなんて、やはりアニタは只者ではない。

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『アニタ 反逆の女神』
監督:アレクシス・ブルーム/スヴェトラーナ・ジル/出演:アニタ・パレンバーグ、キース・リチャーズ、マーロン・リチャーズ、アンジェラ・リチャーズ、ケイト・モス、ブライアン・ジョーンズ、ミック・ジャガー、マリアンヌ・フェイスフル、ジェーン・フォンダ、ジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル/声の出演:アニタ・パレンバーグ、スカーレット・ヨハンソン/2024年/アメリカ/113分/配給:オンリー・ハーツ/©2023 Brown Bag Productions, LLC/公開中

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